懐かしいテクノロジー技術解説
90年代、人々はディスクやテープを持ち歩いて音楽を聴いていた 「音楽を携帯する技術」の進歩を振り返る
MDからフラッシュメモリへ
MDは2000年代初頭あたりまで全盛を極めたが、1990年代末期にMP3プレーヤーが登場し、2001年に大容量を誇るiPodが登場すると情勢が変わってくる。MDのメディアは1枚200〜300円と、当時としては比較的リーズナブルだったが、アルバムを何枚も持ち歩くとメディアがかさばる、回転するメディアだけに衝撃に弱い、サイズが一定以下にならないといった弱点もあった。そこをすべてカバーできるフラッシュメモリを使ったDAPは一気にシェアを伸ばし、ソニー自身も2000年に最初のフラッシュメモリー搭載型ウォークマンを販売する。
また、当時ソニーはフラッシュメモリカードとして「メモリースティック」を展開していた。メモリースティックはデジタルカメラ、DAP、デジタルビデオカメラなど多くの機器で使われており、MDの後継(というか一部は競合)はこのメモリースティックという位置付けだった。
もっとも2005年にiPod nanoが登場すると、DAPは完全に大容量固定フラッシュメモリの時代へと移る。ソニー自身も徐々にMD製品からフェードアウトしていき、2011年ごろまでにほとんどの生産が終了している。もっともMDのメディアはまだ市場で入手することができるので、もし自宅にMDラジカセなどがあれば、当時の環境を再現することもできる。限られたボタンでチマチマとTOCを入力し、1曲ずつCDからダビングして過ごした90年代の若者の生活を追体験してみてはいかがだろうか。
参考URL
https://www.sony.jp/rec-media/history/index02.html
https://www.sony.jp/products/Consumer/himd-rec/Hi-MD/index.html