モスバーガーのVRChat進出、2年連続の東京ゲームショウVR会場――現実に広まるVRの波。その先にある未来を小説は描けるか

現実に広まるVRの波

 ファストフードチェーンのモスバーガーも、ついに『VRChat』に進出した。9月14日から発売される新商品「月見フォカッチャ」のプロモーションとして、9月6日に『VRChat』内に初の仮想店舗「モスバーガー ON THE MOON」がオープンしたのだ。同日にはこの仮想店舗にてメタバース記者会見も実施され、新商品とプロモーションについて情報発信が行われた。

 「モスバーガー ON THE MOON」はその名の通り、月面に開かれた店舗だ。店内厨房では「月見フォカッチャ」を含む4つの商品を調理できるアトラクションが用意され、周囲には商品を配達するNPCのウサギたちがせわしなく、にぎやかに跳び回っている。いるだけで楽しい空間であると同時に、実商品の発売に先駆けてメタバース内で「月見フォカッチャ」に触れていると、購入意欲を刺激されるものだ。

【Teaser Movie】MIDNIGHT GRAND MOS BURGER / モスバーガー「月見フォカッチャ」2022.9.14 Release

 モスバーガーは『VRChat』出店以外にも、『美少女戦士セーラームーン』とのタイアップCMや、VTuber・星街すいせいとサウンドプロデューサー・TAKU INOUEの音楽プロジェクト「Midnight Grand Orchestra」とのタイアップも発表した。幅広いプロモーションとともに、女性層や若年層の開拓を狙う算段だ。満を持しての「月見商戦」への参戦に、VRメタバースとVTuberが宣伝に起用される、「バーチャル」の浸透を感じる一幕である。

 星街すいせいも所属する「ホロライブプロダクション」では、9月7日に第1号タレント・ときのそらがデビュー5周年を迎えた。これを記念して9月7日が「ホロライブプロダクション設立5周年記念日」と定められ、お笑い芸人の錦鯉を迎えた特別番組や、公式検定の開催など、様々な記念企画が実施される。

 「ホロライブ」の人気と認知度は、特に2020年以降に急激に上昇しているが、ときのそらは2017年9月7日にデビューし、カバー株式会社のVR事業やバーチャルタレント事業とともに歩んできた古株だ。VTuberブームの火付け役となったいわゆる「四天王」の少し後ろを歩く時期もあったが、いまや彼女もチャンネル登録者数100万人の大台に達している。「積み重ね」を体現するVTuberの一人と言ってよいだろう。

 なお、5周年記念特設サイトの年表は簡便だが、重要なイベントの時期はプロットされているので、最近「ホロライブ」を知った人は一度目を通してみるとよいだろう。ときのそらから始まった歩みが、世界的なバーチャルタレント事務所に至るまでの道程は、知っておいて損はない歴史だ。

 国内外の様々な人に影響を与えた『ソードアート・オンライン』シリーズを手掛けた川原礫は、新たな小説作品『デモンズ・クレスト』を発表した。VRを主軸に描いた『ソードアート・オンライン』から一歩進み、VRゲームの世界と現実が融合した「MR(Mixed Reality、複合現実)」を描くという。

 ここ数年で利用者が増え、いまや「現実」のものとなりつつあるVRに対し、MRはまだまだ発展途上だ。11月10日に発売される『デモンズ・クレスト』で描かれるMR的な世界とはどんなものか、そして同作がMR業界における『ソードアート・オンライン』となるか、注目したい。

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