THE PRIMALSが再確認した“光の戦士”との絆 植松伸夫も登場した、4年ぶりの単独公演を振り返る

 大人気オンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下、FFXIV)のオフィシャルバンドとして、サウンドディレクター・祖堅正慶を中心に結成された“THE PRIMALS”。ゲーム中に流れる音楽をバンドアレンジしたサウンドで、日本だけにとどまらず北米、欧州、韓国、中国で開催された公式イベント『FINAL FANTASY XIV FAN FESTIVAL』でライブを行うなど世界的に活躍している。

 そんなTHE PRIMALSが6月4日と5日に千葉・幕張メッセイベントホールで開催した、約4年ぶりの有観客ライブ『THE PRIMALS Live in Japan - Beyond the Shadow』がBlu-ray映像作品として9月14日に発売。「ファイナルファンタジー」シリーズの音楽を生み出した・植松伸夫のゲスト出演でも話題を集めた同ライブを振り返りながら、音と映像が一新され生配信を上回るクオリティに仕上がった本作について、見所や聴き所をメンバーに語ってもらった。

プレイヤーの思い出が主役。THE PRIMALSは、それに火を付ける役割

——約4年ぶりの有観客ライブ、バンドとして過去最大規模のステージだったわけですが、振り返っていかがですか?

祖堅正慶(以下、祖堅):プレイヤーの皆さんと約4年ぶりに会えたのは、すごくうれしかったですね。改めてゲームというエンターテインメントの持つすごいパワーを感じたし、映像や音作り、同時生配信という部分も含めて、自分たちで手作りした割には、かなりクオリティ高く、なおかつゲームを遊んでくれている皆さんにとっては楽しいライブになったんじゃないかなと思います。

祖堅正慶

——昨年5月にオンラインで開催されたファンフェスの2日目のラストでは、THE PRIMALSとしてライブを披露。昨年の経験は活かされましたか?

祖堅:そうですね。同時配信するということのテクニカルな部分は、昨年のファンフェスティバルでかなり確立されたものがあったので、その時以上に配信を観ている人がまるで会場にいるかのような音響にするために、結構いろいろ新しいことをやっています。ほかの生配信ライブとは比較にならないくらいの臨場感が出せたんじゃないかなと思います。

マイケル・クリストファー・コージ・フォックス(以下、コージ):コロナ禍になってからは活動に制限がかかって、仕事も在宅勤務が多くなって、ファンからも仕事仲間からも離れてしまったことは、自分にとってはすごくストレスだったし、きっとプレイヤーのほうがもっとストレスを感じていたと思う。それが今回のライブで、やっと外に出て仲間と一緒に楽しむことができた。バンドメンバー、友だち、光の戦士(プレイヤーの愛称)たちと、同じ会場で気持ちを一つにすることができたのは、私たちにとってもプレイヤーにとっても、すごくパワーになったんじゃないかなと思います。溜まっていたものを全部蹴っ飛ばして、リフレッシュできたし、今後に向けて頑張ろうという気持ちにもなったし、たぶん観に来たみんなもそうだったと思います。声は出ていないけど、顔を見ればわかりますよね。みんな「これを待ってたぜ!」という表情をしていた。

GUNN:コージが言ったように「待ってたぜ!」という反応もあったし、僕たちも待ってたし。ライブを開催するにはいろいろな問題があって、声も出せなかったけど、やれて本当に良かったというのが、まず一つ大きいですね。

GUNN

イワイエイキチ(以下、イワイ):オンラインライブは何度かあったけど、お客さんを目の前にして演奏することが久しぶりだったから、前と同じようにやれるのかという不安は少しありました。でもステージに出たら、「やっぱり大丈夫だ」と思えましたね。オーディエンスがいることで安心感があるし、力をもらえました。

イワイエイキチ

たちばなテツヤ(以下、たちばな):THE PRIMALSとしてはちょこちょこと、韓国や中国のフェスに配信で出てやっていたけど、その時は無観客だったから。でも今回やってみて、声は出せないけどあれだけたくさんの人が集まって、踊ってくれたりとかして、来てくれて本当にありがたいなと。あと、この歳でよく二日間持ったなと(笑)。

祖堅:ははは(笑)。

たちばな:乗り越えることができたのは、プレイヤーの皆さんのパワーのおかげです。

——セットリストは、何か意図とかイメージしたものはありましたか?

祖堅:実は諸事情あってセットリストは、すんなり決まらなかったんです。そもそも有観客になるかどうかもわからない状態のまま、ライブ開催に向けて準備が進んでいって。まずは会場に人を呼べた場合と呼べなかった場合、2つのセットリストを考えなくちゃいけなくて。それにプラスアルファして、我々以外にゲストボーカルが2人予定されていて、その2人を呼べるか呼べないかにもよって、やれる曲が変わってしまうわけです。さらに呼べなかったとして、それでもその曲をやるといった場合、どういう風にステージングしたらプレイヤーが満足できる演奏になるのか。そのあたりをかなり試行錯誤してセットリストを決めました。

——そんな状況だったんですね。

祖堅:はい。最終的に海外のゲストボーカルを呼べなかったんですけど、ボーカルがいない状態で、その曲を我々だけでどうやり切るかをすごく考えました。でも、あくまでもゲームをプレイしてくれているお客さんの思い出が主役で、我々はそれに火を付けるのが役割です。プレイヤーの思い出となり得るプレイ動画を編集してMV風にして後ろに流し、それを背負って我々が演奏したら、成り立つんじゃなかろうかと。そういう意図で演奏した曲も2曲あります。あと、声を出せなくても楽しめるように、拡張パックごとのブロックを作るとか、いろいろ考えながらセットリストを組みました。

——リハーサルは、どんな感じでしたか?

GUNN:リハはいつもの感じで、あまり緊張感は無かったかもしれないです。多少時間が空いたこともあって最初はピリッとしたムードもあったけど、始まったら「これこれ」「思い出したな」と感覚が戻ってきました。

祖堅:これまでのリハでは新曲でつまずいてて……。今回は新曲が多かったんだけど、割とスッとやれたよね。

たちばなテツヤ

たちばな:そうだね。それぞれその前にレコーディングもやっていたから。何となくバンド感みたいなものがあった中で、その流れのままリハに入ることができたのは良かったです。

コージ:でも今回のリハは今までと違って、スタッフを含めて人がやたらと多かったことには驚きました。バンド関係のスタッフ以外で、平気で20〜30人いたので、ライブの規模の大きさを実感して「ヤバイかも」って。僕はその時点で、すでにちょっとドキドキしていましたよ(笑)。特殊効果の人がいたりダンスの人がいたり、普段のライブにはいない人がたくさんいました。THE PRIMALSの最初のライブは小さなライブハウスで、メンバーとスタッフ2人くらいでやっていましたら、それを考えると「スゲエ〜!」って。

マイケル・クリストファー・コージ・フォックス

イワイ:火花と共に爆発音が鳴る特効があって、リハの時ものすごい音でビビりました。炎が吹き出るやつも、普通よりもちょっと距離が近いし。特効ものには慣れている自分でも、さすがにビビりました。

——メイキング映像によれば、本番では火薬の量を半分にしたそうで。

たちばな:本番では半分にしました。でも半分であれだから。リハではあの倍だから音がデカすぎて、シンバルを叩く手が止まりました。祖堅氏はラッパが吹けなくなるし。

祖堅:後で聞いたんですけど、あり得ない量の火薬を炊いたらしくて。ああいう特効に慣れている、会場に従事しているスタッフさんが、あの音を聞いて「事故った!」と思って慌てて飛んで来たらしいです。「大丈夫ですか!?」って。事故レベルだったという。

コージ:特効さんも溜まっていたんですよ。ずっとコロナでできなかったから。4年分の溜まっていた火薬を全部使っちゃったんじゃない(笑)?

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