アスリートのセカンドキャリアにYouTubeは必須? 羽生結弦のチャンネル開設から考える

 8月上旬にフィギュアスケーターの羽生結弦がYouTubeチャンネルを開設し、大きな話題になった。大物アスリートはなぜYouTubeに参入したのか、投稿された動画からその理由を分析してみたい。

はじめまして。

 7月19日に競技者としての引退を発表し、アマチュアからプロに転向したフィギュアスケート界のプリンス羽生結弦。8月7日にYouTubeを開設すると、わずか1日にして登録者数が30万人を突破し、その人気を知らしめた。

 YouTubeにはこれまでにも、名だたるアスリートたちが参入している。配信や投稿頻度はさまざまだが、サッカー界では本田圭佑選手や長友佑都選手、野球界ではダルビッシュ有選手などビッグネームたちがYouTubeチャンネルを持ち、試合の感想やオフの過ごし方を発信し、ファンとコミュニケーションをとっている。なかでも朝倉未来・海兄弟は、プロの格闘家でありながらYouTubeでも絶大な人気を集めているアスリートの代表例と言える。

2 チャンネルのこと。

 彼らのようなアスリートたちのYouTubeでは、試合では見られない姿を拝めることが醍醐味のひとつとなっており、羽生のYouTubeも同様かと思われた。しかし蓋を開けてみると、8月9日に投稿された、2本目となる動画で羽生は、そういった日常的な動画を「作る予定はない」と断言。YouTubeチャンネルを開設したのは、「自分のスケートに触れていただく機会を少しでも多く作りたい」という思いからだったと明かしている。

 その言葉を証明するかのように、羽生は8月10日に「SharePractice」と題した生配信を実施。大勢の記者たちが見守るなか、羽生はウォーミングアップから練習の終了までを隠すことなく公開した。同配信では、2014年ソチ、2018年平昌オリンピックで金メダルを獲得したプログラム「SEIMEI」を披露。3回目の挑戦ではオリンピックの構成そのままのプログラムでノーミスの演技を達成し、配信を視聴していた世界中のファンを喜ばせた。

 羽生いわく、「著作権が大変すぎて、使える曲が少なかった」ことから、配信内で披露できるパフォーマンスが少なかったそうだが、メディアでもあまり報じられない練習風景が見られるというレアさもあり、生配信時にはチャット欄に大量のコメントが寄せられる事態に。同生配信のアーカイブ視聴回数は約249万回を記録し、注目度の高さがうかがえるものとなった(8月16日現在)。

 プロに転向したことで、羽生のスケートが見られるのはアイスショーなどが中心となってくる。試合に出場しないとなると、InstagramやTwitterといったSNSのアカウントを持っていない羽生の姿を目にする機会はさらに少なくなってしまう。ファンにとってはメディアでは報道されない姿が見られるうえ、コメントを通してコミュニケーションがとれるYouTubeが、羽生の動向をチェックできる貴重な場となったことは確かだ。

 羽生は今後のYouTubeでの練習公開について、「半年に1度くらいしかできないと思う」と述べており、配信や動画の投稿頻度はそう高くないと推測できる。それでもInstagramやTwitterに比べ、運営に労力がかかるYouTubeを開設したのは、選手を引退してもなお「自分のスケートを見てほしい」という“アスリート羽生結弦”の真っ直ぐな思いが強かったからではないだろうか。

 アスリートのYouTube開設は今では珍しいものではないが、羽生のようなビッグアスリートの参戦を目の当たりにすると、YouTubeはアスリートのセカンドキャリアにおいて必須なプラットフォームになりつつあるのでは、と考えさせられる。羽生が今後、YouTubeでどのような姿を見せてくれるのか、次にどんな大物アスリートが参戦してくるのか、スポーツ系チャンネルの行方が気になるところだ。

出典:
https://www.youtube.com/watch?v=InG5mJQgPuk
https://www.youtube.com/watch?v=1FtplF-LBe4
https://www.youtube.com/watch?v=MY3dlxt9MvQ

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