「LoL」の格ゲー『Project L』に寄せる期待 eスポーツ界の巨人は格闘ゲーム界隈を活性化できるか

 8月2日、『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)の世界観を踏襲した対戦格闘ゲーム『Project L』(仮称)について、 Riot Gamesは制作の進捗状況を知らせる動画を公開した。動画内では開発を手掛けるTom Cannon氏が出演し、現時点における『Project L』の完成度をはじめ、リリース方式(基本プレイ無料)、実装予定キャラクター「イラオイ」、オンラインプレイ環境を改善させるロールバックネットコードの採用について語っている。また、正式リリース日については未定なものの、「2022年にリリースすることはありません」と名言。年末までに新情報を公開すると言及した。なお、件の動画は本稿を執筆している8月5日現在で再生回数29万回を記録している。

/dev: The Latest on Project L | dev diary - Project L

広がり続ける『LoL』ユニバース。次の舞台は”2D対戦格闘ゲーム”

 2019年に正式発表された『Project L』は、Riot Gamesが手掛ける基本プレイ無料の対戦格闘ゲーム(格ゲー)だ。同作において、プレイヤーは『LoL』に登場するキャラクターを操作し、2VS2のタッグバトルに挑むことになる。制作を務めるのは、格闘ゲームの世界大会『EVO』の創始者であり、GGPO(ロールバックネットコード)を開発したTom Cannon氏。そして彼の実兄のTony Cannon氏だ。両名は手を取り合い、2019年から3年にわたって『Project L』に心血を注いでいる。同作に関するRiot Gamesの公式ブログ記事を読んでもらえれば、彼らのゲーム制作に対する真摯な思いが伝わるはずだ(参考:Project L /dev: 自分たちのゲームを模索する)。

 2022年8月時点で判明している同作の参戦キャラクターは、「ダリウス」「ジンクス」「カタリナ」「エコー」「アーリ」「イラオイ」の計6体。各キャラクターが『LoL』と同等のスキルを扱えるかは不明なものの、動画内のプレイシーンを見るに、それぞれの使用武器や特色がファイトスタイルに組み込まれているのは明白。プレイアブルキャラクター数はまだ発表されていないが、『LoL』に登場するキャラクターが格ゲー向きにブラッシュアップされることを期待したい。

Project L - RiotX Arcane: Epilogue | The Right Foundation

 一般ユーザー向けβテスト等は開催されていない同作だが、先んじてテストプレイに立ち会ったプロゲーマー・SonicFox氏(モータルコンバットシリーズ世界王者)によれば、「『Marvel vs Capcom 3』 や『鉄拳 X ストリートファイター』を彷彿とさせるゲームシステムだった」とのこと(SonicFox, JWong give their take on Riot Games’ Project L)。加えて同氏は攻防の駆け引きだけでなく、『LoL』特有のキャラクターたちも合わさってどのような変化が生まれるか見てみたいといった旨も示している。

基本プレイ無料格ゲー『Project L』に対する期待と懸念

 全世界でユーザー数1億人を超える『LoL』をはじめ、世界大会における日本勢の躍進が報じられたタクティカルシューター『VALORANT』など、eスポーツシーンにおいて存在感の強いRiot Games。そんな同社が手掛ける『Project L』の期待点と言えば、まず考えられるのがブランド力の向上だろう。

 すでにeスポーツ界隈で高い影響力を持つ同社だが、基本プレイ無料の格ゲーを生み出すことにより、MOBA・FPS・格ゲーという競技性に特化したタイトルを3本抱えることになる。また、『Project L』が『EVO』等の大規模なeスポーツイベントに競技種目に選ばれた場合、それだけでRiot Gamesのブランド力や認知度が広がると見て良いのではないだろうか。

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