全世界売上4300万本超 『マリオカート8 デラックス』が発売から5年後も売れ続ける理由とは?

『マリカー8 DX』が5年間売れ続ける理由

 映画・小説・音楽・漫画……等々、どんな媒体でも長期間にわたって影響力を発揮し続ける”定番作品”が存在する。筆者は普段ビデオゲーム分野で色々と様々な情報を発信しているが、ゲームの定番であれば「スーパーマリオ」(マリオ)シリーズが真っ先に挙がることは想像に難くないだろう。

 そんな「マリオ」シリーズのうち、昨今のゲーム業界でとりわけ定番化しているのが『マリオカート8 デラックス』だ。同作は2017年4月28日にNintendo Switch向けにリリース後、2021年末までに累計販売数4335万本(世界)を達成。この記録は発売直後の売上だけでなく、登場から約5年が経った2021年度の売上(994万本)もウエイトを大きく占めている。つまり一過性のブームで終わらず、ロングセラー作品としてコンスタントに売れ続けているわけだ。実際に筆者の周囲でも、「Nintendo Switchと一緒に買っておこう」と同作を手に取るユーザーも数多く見受けられる。

マリオカート8 デラックス コース追加パス 第2弾コース紹介

 さらに驚くべきは、2022年初頭に入って”大規模DLCの制作”が発表された件。主な内容は”『マリオカート8 デラックス』に48コースを追加する”というもので、3月18日から2023年末にかけて計6回にわたって配信される。DLCを購入した場合、既存コースと合わせて計96コースを1本の作品で遊べるのだから驚きだ。

 リリース5年後に追加DLCの制作が決定するほど注視されている『マリオカート8 デラックス』。ここからは同作が支持を落とすこと無く売れ続け、人気を得た理由について改めて考えてみたい。

定番化の要因は「ブランド力」と「万人受け」にあり

 『マリオカート8 デラックス』は現在進行系で世界中のユーザーに遊ばれているが、その起源を辿ると、そもそも「マリオカート」シリーズのブランド力に依拠している点が大きいだろう。同シリーズは1992年8月のスーパーファミコン用ソフト『スーパーマリオカート』で産声を上げ、「マリオファミリーが勢ぞろい」「ランダム性を押し出したゲームシステム」……等々、従来のレースゲームよりもカジュアルに楽しめる作風が好評を招き、第一作目から約870万本(世界)を売り上げた。

スーパーマリオカート プレイ映像

 その後も『マリオカート64』や『マリオカートアドバンス』とプラットフォームを変えながらタイトル数を更新。アーケードゲーム及びスマートフォン向けアプリ等の派生作品も展開されたほか、2021年3月からはユニバーサルスタジオ・ジャパンにてアトラクション化も果たした。

 こうした影響力の高さはもちろん、同シリーズは全体を見ても一部を除いてほぼ全作品でミリオンセラーを達成しており、「みんなで楽しめるレースゲームと言えばマリオカート」と世間に認知されるほどのブランド力を保持している。第一作目から積み上げられた「マリオカート」シリーズの伝統がブランド力の根幹を形成し、そのまま『マリオカート8 デラックス』の人気に繋がったと言えるのではないだろうか。

 とは言え、”定番だから”という理由だけで売れ続けるのは中々難しい。安心できる人気シリーズタイトルでも、ゲーム内容に不備が生じたり、「遊んでいてつまらない」といった感想が多くなれば人気が下火になっていくからだ。その点、『マリオカート8 デラックス』は2014年5月に出たWii U用ソフト『マリオカート8』(オリジナル版)を下敷きにし、大幅な追加要素を伴うことで完成度をより高めることに成功した。

 代表的な例で言えば、オリジナル版で不評とされていたバトルゲーム。『マリオカート8 デラックス』は「ふうせんバトル」(アイテム等を駆使して互いの風船を割り合う)に加え、別陣営に分かれて戦う「パックンVSスパイ」、爆弾を投げつけて爆破クラッシュを狙う「ドッカン!ボムへい」等々、計5つのルールを実装。通常モードに勝ると劣らない充実ぶりでオリジナル版の不満を見事に解消している。同シリーズのバトルゲームはカジュアルに楽しみやすい側面を持っていたことからも、『マリオカート8 デラックス』は友達や家族みんなで遊べるパーティーゲームとしての価値がさらに増したと見て良いだろう。

 また、同作には初心者に優しい「ハンドルアシスト」「オートアクセル」もデフォルトで備わっている。前者は走行スピードが落ちる地帯を自動で回避し、後者はボタンを押さずとも勝手に前進してくれる機能だ。レースゲームと言えば加減速のタイミングにはじまり、コーナリング、マシンセッティングなど、ユーザーの習熟度に応じてパフォーマンス面の格差が生じやすい。これは致し方ないことだが、「マリオカート」シリーズは初期の頃からアイテムボックスの導入や各コース内のギミックにより、初心者でも上級者に勝てる仕組みが整えられている。

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