『ドラゴンクエストXI』5周年 原点回帰を謳った「勇者」の物語

過去作との繋がりやオマージュに、ニヤリとさせられる

 『ドラゴンクエストXI』はシリーズ30周年を記念したタイトルであり、過去作へと繋がる設定やオマージュなどファンサービスが豊富なタイトルでもあった。

 たとえば、本作の舞台となる「ロトゼタシア」は、地名からして『ドラゴンクエスト』I・II・IIIを連想させるものだった。実際に本作のラストでは、『ドラゴンクエストIII』のOPが描かれ、ストーリーや世界観のつながりが示唆されている。

 そのほかにも、本作のグロッタの町で繰り広げられた仮面舞踏会では、登場人物からBGMに至るまで『IV』のエンドールで行われた武術大会のオマージュとなっていたり、主人公が過去の自分に会いに行くイベントは『V』を彷彿とさせるものになっていたりと、過去作を遊んでいるからこそニヤリとできる演出が多い。

 このような背景から、本作はシリーズファンに向けたファンディスク的な立ち位置の作品ともいえるだろう。

 『ドラゴンクエストXI』は2機種にわたる展開により、旧来のファンのニーズを満たしながらもシリーズの進化を見せつけた。そして、プレイヤーの予想を上回る展開を描き、新たな物語としても完成された本作は、まさにシリーズ30周年を飾るにふさわしいタイトルといえるだろう。5周年を機にもう一度遊んでみてはいかがだろうか。

 なお、2020年には本作をフルボイス化し、追加シナリオが収録された『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』が発売されている。今から遊ぶという方にはそちらをおすすめしたい。

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