「お仕事ドラマ」は“大逆転劇”がトレンド? ブラック企業の“幸せ迷子のズタボロ女子”が立ち向かう姿に共感

 海が転職したANIMAL BEAUTYはかつていた会社とは社風も環境も180度異なる。フレックス制度に希望者にはフルリモート勤務も許可され、メンター制にフリーアドレスと一気に風通しが良くなる。また“ブレックファーストミーティング”と称された毎週の定例では社長の榊圭祐(白洲迅)ら上層部と社員らがオープンに意見を交換し合う。これまでトップダウンで上司からの無茶振りばかりこなしてきた海からすれば、信じられない光景だ。

 新たな環境下で、海の本人もまだ気づいていない魅力や才能が開花していく姿は痛快だ。新商品発売イベント当日、ライブ配信にて参加してもらうことになっていた有名美容インフルエンサーの元に送ったはずの商品が戻ってきたとなれば、迷わず一目散に駆け出す。「私、この企画好きなんで」と言い残して。これには、海の前職AD時代のハードな経験が生きている。何が起きるわからない生放送中に“何とかなる”ではなく“何とかしてきた”彼女のタフな精神がモノを言う結果になった。

 どんなことも自分ごととして捉え、取り組めるのは海の強みであり、榊も「人を引き付ける力がある」と評していた。全力疾走の末、なんとか商品を届けられた海の目の下の真っ黒に滲むアイメイクがその必死さを物語るが、それは面接終わりに自分の言葉が発せなくて悔し泣きした時にできたものとは全く異なるはずだ。そして仕事のために、自身の使命のためにヒールも脱ぎ捨て髪を振り乱して奔走しボロボロになったシンデレラを迎えに来て「綺麗だよ」という一言で包み込む王子の姿こそ、現代の働く女性が望む何よりの憧れのシチュエーションになり得るかもしれない。

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