YouTube日本版が15周年 ランキングからみえた4組のYouTuberの関係性と犬・猫動画の人気の理由

 YouTubeは6月19日、日本版の開設15年を迎え、各年に最もブレイクした動画のランキングを発表した。そのランキングには、長年にわたり活躍し続ける動画クリエイターや人気ジャンルの動画が勢揃いし、15年の歴史が垣間見えるものになっている。6月4週目の急上昇は、そんなYouTube日本版の15年間を象徴するような動画が多数登場。YouTube日本版開設初期から今も変わらぬ人気を誇る4組のYouTuberの関係性と、犬・猫動画の人気について深堀してみたい。

 今回発表された15年間の国内トップブレイク動画ランキングには、今でもトップを走り続けるヒカキンやはじめしゃちょー、フィッシャーズ、東海オンエアが複数登場している。ヒカキンはYouTube日本版がローンチした2007年に、得意のビートボックスを披露した動画で1位を獲得。2012年にはヒューマンビートボクサーDaichiとのコラボ動画が1位に輝くと、2013年、2014年、2016年、2018年には、「Hikakin TV」とゲームチャンネル「Hikakin Games」の動画がランクイン。さらには登録者数1000万人を達成した生配信が2021年のランキングで1位になるなど、15年間、レジェンドの名にふさわしい活躍を見せている。

 今年活動開始から10年目のはじめしゃちょーはというと、2013年〜2016年にかけて4回、活動13年目のフィッシャーズは2014年、2016年、2017年、2021年の4回ランクインと、はじめしゃちょーに並ぶ活躍ぶりだ。活動9年目の東海オンエアは、その2組のあとを追うように、2015年、2016年、2021年の3回ランクインしている。このランキングはキッズチャンネルは除外、音楽動画は別枠で集計されているが、それでも15年の中で複数回ランキングに名前が上がっているのはこの4組のみ。それだけ彼らが根強い人気を誇っていることが証明されたのだ。

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 前述のランキングを見てわかる通り、各々の活躍が目覚ましい4組だが、6月19日にはヒカキン、はじめしゃちょー、フィッシャーズ・シルクロード、東海オンエア・ゆめまるが生配信でコラボ。那須川天心と武尊が対戦した「THE MATCH」を盛り上げるために実施された配信が、6月4週目の急上昇にランクインした。この4組は全員UUUMに所属しているが、同じ画面に一同が収まることは滅多にない。しかし、はじめしゃちょーがヒカキンのことをたびたび動画で「親分」と呼んでいるように、2人の親交は深いうえ、昨年両者がチャンネル登録者数1000万人を突破するまではデッドヒートを繰り広げるなど、まさにいい同志といった仲だ。

 はじめしゃちょー、ヒカキンとのコラボが目立つフィッシャーズは、東海オンエアとも昔から仲が良く、度々コラボをしてきた。しかし、本人たちが知ってか知らずか何かと比較されることが多いうえ、以前は視聴者同士の仲が悪いというイメージが。さらに、お互いのチャンネルで全メンバーが揃ったコラボはまだないという不思議な関係だったが、昨年12月にフィッシャーズのチャンネルで投稿されたコラボ動画では、フルメンバーでのコラボを期待させる発言も。お互いがトップYouTuberとなり、ファン同士の関係も良好になったいま、その関係性はより強固なものになったと言えるだろう。

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 4組の中では1番後輩にあたる東海オンエアは、2020年10月に投稿した動画でヒカキンに「暇かよ働け」と記した手紙を送りつけ、ヒカキンが激怒する様子が公開されていた。一見すると、失礼すぎる企画なのだが、そんなパンチの効いた企画も許されるのは、長年の付き合いがあってこそ。4組は先輩・後輩という間柄ではあるものの、毎年何かしらの企画でコラボをしており、「ライバルだけど仲間」という関係性が動画を通して伝わってくる。こういった関係性は、互いのチャンネルだけでなく、YouTubeを盛り上げるためにも一役買っているのは確か。今後も互いに切磋琢磨するYouTuberたちが、時代を作っていくのかもしれない。

 開設15年を報告するYouTube日本版公式ブログでは、ランキングのほか、犬や猫の動画が「YouTube の初期から続く人気ジャンル」と紹介している。2008年のランキングでは猫動画が1位と2位に輝き、2013年には犬動画が1位にランクイン。YouTubeで犬・猫動画の人気が凄まじいものであることがわかる。

東海オンエア、どっちが強いか決めようや

 この犬・猫動画の人気は6月4週目の急上昇にも表れており、猫チャンネル「もちまる日記」の動画が実に5本も入ることに。2019年11月に開設されたこのチャンネルは、飼い主「下僕」の目線で見るスコティッシュフォールド「もちまる」の日常を収めた動画が投稿されているのだが、昨年9月には「YouTubeで最も視聴された猫」としてギネス世界記録を樹立。生後50日で動画に登場したもちまるの成長を見守るチャンネルは、たった2年でYouTube日本版を代表する猫チャンネルに成長したのだ。

入院中の飼い主とビデオ電話したら猫の反応がかわいすぎました…笑

 もちまる日記の特徴は、「下僕」の顔と声が一切出てこないこと。犬・猫チャンネルにおいては成長を見守る動画や、面白おかしい動画が急上昇にランクインすることは多々あるが、飼い主の顔や声が一切出ていないチャンネルは少ない。飼い主の情報があまり表に出ていない分、視聴者がよりもちまるの成長を飼い主の気分で楽しめるという点が、ペット系ジャンルでトップを走るもちまる日記の人気の秘訣と言えそうだ。

 最近は、YouTubeの発展を支えてきたベテランYouTuberたちが引退を口にすることが増えてきたなか、15年間のランキングでその存在感を示したトップYouTuberの4組。YouTubeだけに限った話ではないが、この4組の関係性からは、単独でトップになること、トップであり続けることが難しいといった側面が見てとれた。15年間変わらず人気のある犬・猫動画は、飼い主になった気分で成長や意外な姿を見られるのが醍醐味であることが、トップに立った猫チャンネルからみえた。ペットのもつ抜群の癒し力の相乗効果で、犬・猫動画は今後も人気であり続けるだろう。

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