にじさんじ・家長むぎはキュートな声で思考する。その鋭敏な感性と文才に迫る
そんな彼女が「ライバー人生で一番楽しかったかもしれない」配信としてTwitterにも書き残した配信がある。
ストア派哲学者であり、第5代ローマ皇帝ネロの側近として支えたルキウス・アンナエウス・セネカの著書「生の短さについて」を冒頭にあげて始まったこの配信は、家長が会話をリードしつつ、リスナーがそれに合わせて応答するという内容となった。
「頭がいいっていうのは、人に合わせたレールで話ができる人じゃないかと思う」
「学歴を全てだと思って生きていくのは、寂しいことだと思いませんか?」
リスナーとの対話は、人生とは?努力とは?VTuberの卒業・引退とは?そして「家長むぎとは?」と綿々と続いていく思考の連続。「コメント欄にカワイイとか一切ない!コメントが長い!」「こんな話ができると思わなかった!みんな!楽しいね!」と声にあげる家長むぎ。口調はウキウキとしたものであり、にじ3Dで描かれた顔には笑みが零れた。
「知能が欲しい」と雑談中の彼女の口から零れることがあるが、その意味は単なる「頭がよくなる」という意味に留まらないのが伝わるだろうか。なにより、にじさんじにおいてここまで理性的・哲学的な思考に純粋な喜びの声をあげるのは、彼女だけかもしれない。
デビュー当初、大小さまざまなイベントに参加していた彼女。ABEMAで放送されていた『にじさんじのくじじゅうじ』に元一期生とともに出演し、今年2月の復活配信にも登場していた。
また、そのウィスパーボイスは元二期生のなかでも特徴的で、ソロ・コラボでも歌動画に関わらず多く配信してきていた。
そんな彼女を過去の配信アーカイブから知ろうとすると、意外なほどにそのアーカイブが残っていないことに驚くファンもいるだろう。実は非公開・限定公開に設定されたアーカイブが多く、どこか神秘性をもった人物にも受け取れる。
活動開始から4年のなかで彼女は何度か体調を崩して休んでしまっていたが、2021年12月14日の配信で、心身の不調から積極的な活動を控えることを発表した。
その後は配信頻度をグっと落とし、月イチペースでの配信を届け、先述したような文才ある執筆や、TwitterやInstagram(https://www.instagram.com/p/Cc5YAVpvLPi/?hl=ja)を通じて日々について報告している。
「引退はしない」「配信などはこれからも頑張っていきたい」「過度に負荷をかけずにいきたい」と前向きに語っており、穏やかな生活とマイペースな活動を通し、繊細かつ鋭敏な感性と思考力を届けてくれる彼女。人一倍に深い洞察力とあどけなさが残った可愛さというギャップと魅力は、より多くのひとに知られていいはずだ。