VRアーティスト・せきぐちあいみがテクノロジーの力で表現したいこと 「得意なものがなかった私に、VRは力を与えてくれた」

賛否両論あるNFT。それでも可能性を捨てないで欲しい

ーー2021年3月には作品がNFTアートとして約1300万円で落札され大きなニュースとなりました。エンターテインメント性を高めながらも、アートとしても評価されています。

せきぐち:価値をつけてもらえたことでクリエイターとしての自信に繋がったので大変ありがたいことです。目の前の人を楽しませたいという気持ちが第一にありつつも、まだ生まれていないものを創りたいという気持ちはあるので、こうやって0から自分が生み出したものに評価をいただけたことはとても嬉しいです。NFTアートに関しては今後も挑戦していきたいと思いますし、こうやってデジタルアーティストにとっては挑戦の糧にはなるんじゃないかなと。

ーー昨今のNFTの盛り上がりについてはいかがでしょうか?

せきぐち:予想よりもかなり早いスピードで話題になったので驚きました。ただ、今後VRやARが生活のなかに根付いて、スマートグラスなどを日常的に使うようになり、デジタルデータの管理が重要になる世界は来るはずなので、NFTは今後必要不可欠となるものだと思っています。ただ、いまは法律も整備されておらずNFTでのデータの管理が100%安心かと言われたらそうではない。さらに投機的なイメージもあると思います。ただ、そうではなくしっかりとデジタルアートの価値を残すために活用している人もいるんです。必要だと思う人はやってみればいいし、そうでない人はやらなくてもいいと思います。ただ、NFTによって広がる可能性もあるということは知っていてほしいですね。

ーーNFTは人々にとってどんな存在になればいいと思いますか?

せきぐち:いまは賛否両論ありますが、NFTもテクノロジーの進化に付随して、高額で取引されるような特別なものではなく、当たり前に使われるようになると思います。日常的に何かをサポートすることに使われていけば、反対意見もなくなって、みんな気付いたら使っているくらいのものになるのかと。

ドラえもんの道具を使いこなす、のび太のような存在になれたら

ーー今後もデジタルアートを創っていくせきぐちさんにとって、テクノロジーの力はどのように感じていますか?

せきぐち:得意なものがなかった私に、VRは力を与えてくれました。テクノロジーの力はなりたい自分になれるように力を貸してくれるんです。ドラえもんがのび太に道具を貸すみたいに。私は、一番良い形でドラえもんの道具を使いこなしてエンターテインメントを生み出すのび太のような存在になれたらなと思います。もし、自分に自信がない人がいたら、こんな時代に生まれているからこそ、何かテクノロジーの力を使って挑戦してみてほしい。

ーーたしかにこれだけデジタルが普及しているなかで、使わない手はないですよね。自分とテクノロジーの掛け合わせは無限大というか。では、今後表現していきたいことはありますか?

せきぐち:いまはフォトグラメトリーや3Dスキャンなどを使ってVR空間に現実にあるものを表現したり、反対にVRで創ったものを3Dプリンターで出力したりと、現実と仮想空間をミックスすることをやっています。そのなかで現実で感じられるような温かみや情緒感をデジタルの世界でも表現したいと思っていて。

ーー現実とメタバースがシームレスに繋がることができたら、これまで以上に様々な可能性を感じます。

せきぐち:現実の世界は超えられないとは思いますが、きっと現実世界ではできない新しいものも生まれると思います。そして最終的にはメタバースが「みんなにとってのメタバース」になればいいなと。みんなにとって良いものは千差万別だとは思いますが、テクノロジーの力で一人ひとりの可能性を広げられるようなものになってほしいです。微力ながらも私の活動を通して、メタバースやVRに興味を持ってもらって、そんな未来に繋がればいいなと思っています。私自身が制約に締め付けられてきたからこそ、人の固定概念を崩すきっかけを生み出して、可能性を示していきたいです。

(画像提供:クリーク・アンド・リバー社)

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