ソニー・ミュージックエンタテインメントが設立したVTuberプロジェクト『VEE』がついに動いた。5月23日に、5名の第1期生が発表されたのだ。

　メンバーの内訳は、新規デビュー者の音門るき、トゥルシー・ナイトメア、雛星あいるの3名と、個人で活動していた九条林檎、秋雪こはくの2名。九条林檎はかつてSHOWROOMなどが三社共同で運営中のグループ「Avatar 2.0 Project」の出身であり、企業勢から個人勢を経て、再び企業勢となったという、稀有な経歴の持ち主となった。

　『VEE』は昨年10月の発足当初から、「VTuberは一人の人間である」「キャラクターの名前や権利などを奪わない」といった、VTuberプロジェクトとしては独特な路線を提示している。個人で活動してきたVTuberの加入は、その路線の証明であるように見える。『VEE』は50名のバージョンタレントのプロデュースを目指すとも表明しており、今後もさらなるデビュー、あるいは加入が期待される。ソニーという大御所がどのようなVTuber事業を描くか、要注目だ。

　その一方で、5月24日に「にじさんじ」からはとてつもない新人が現れた。「お嬢様になりたい一般女性」こと、壱百満天原サロメだ。あまりに典型的な「お嬢様口調」を高精度に使いこなしながら、初配信で黒塗りの履歴書や胃カメラ画像を公開する奇天烈さ、幅広い語彙力と知識が光る抜群のトーク力、そして並々ならぬ胆力を併せ持つ傑物である。

　「にじさんじ」全体を通しても屈指のエンターテイナーとして完成しており、チャンネル登録者数は5月29日時点で50万人を突破。「にじさんじ」内で最速の伸びを、VTuber全体で見てもトップクラスの伸びを見せている。「これほどの逸材が眠っていたのか……」と驚愕せざるを得ない、巨大な新星が一週間をにぎわせた。

　VTuberエンタメのみならず、AR方面でも大きな動きがあった。『Pokemon GO』でおなじみのNianticによる「Lightship VPS」の発表だ。AR開発者が自由に利用可能な、デバイスの位置や方角を特定し、ARコンテンツを高精度で空間に固定できるようになる、ビジュアルポジショニングシステムである。まずはサンフランシスコ、ロサンゼルス、シアトル、ニューヨーク、ロンドン、東京の6都市にて利用可能となり、今後も対応都市は拡大するとのことだ。ARコンテンツ開発にさらなる追い風が生まれることが期待される。