メリッサ・キンレンカの未来に幸多からんことを。にじさんじ卒業を前にその足跡を辿る

 一人のシンガー・クリエイターとしての像を求めながらも、メリッサはメリッサらしい「にじさんじの立ち位置」を築くことになった。

 メリッサの活動は、同時期にデビューしたイブラヒムやフレン・E・ルスタリオのようなゲーム配信にはあまり積極的ではなく、主に雑談配信をメインとしていた。

 配信頻度も高い方とは言えなかったが、リスナーの聞き手となって親密な関係を築いていた。そこにはバイオグラフィも関係している。デビュー当時から「性別・性自認が不定であり、その日によって流動的であった」とも明かしていた。リスナーからも雑談中にそういった話があがることもままあり、自身の考えを説いたこともある。

「運営さんやデザインを担当している方などいろんな人を通して、『女性的に見られることが多いから、胸を小さくしてほしい、もっと中性的な感じにしてほしい』と相談して変えてもらったりしている」

「『メリッサ・キンレンカ』には男性器も女性器もない、『メリッサ』は『メリッサ』なんですよ。性別がどちらでもないおかげで、どちらの言葉も受け入れることができるし、どちらでもない人の言葉も聞くことも、届けることができると思う。それはVTuberだからこそできることじゃないかと思ってる」

「『メリッサ・キンレンカ』は男女どちらでもないんですけど、今はそれについて悩んだりすることもなく、『どちらでもあり、どちらでもない』と。自然にいこうかなと思っている」

「体の作りとして男女の違いはあるとしても、心の性別で男女の違いというのも全然あると思っている。体と心は違うよね?と思っているし、わかってもらえると思ってる」

 線引きの難しい話題に関してもオープンに会話してくれるメリッサ。10代から20歳前半の比較的若い年齢層が主要を占めるにじさんじのリスナーにとって、メリッサのような柔軟で寛容な話し手・聞き手がいるというのは、ひときわ強いプレゼンスを誇っていたといえよう。

 また、メリッサは同期であるフレン・E・ルスタリオとイブラヒム、3人の頭文字から取ったユニット「冥府(メイフ)」の一員でもある。独特なセンスでリスナーを虜にする生粋のゲーマーであるイブラヒム、パっと明るい振る舞いで配信を盛り上げハイトーンな歌声でボーカルユニット▽▲TRiNITY▲▽としても活動しているフレン、歌・ゲームに強い2人とともに活動をつづけてきた。

 「歌ってみた動画」をキッカケにして早くからシンガーとして人気を集めたメリッサ。イブラヒムはゲーマーとして様々な配信者・ストリーマーとともにコラボ配信・カジュアル大会にも出場をするようになり、フレンは▽▲TRiNITY▲▽として楽曲を発表・ラジオ番組を任されるようになるなど、2年にわたって三者三様に別々のフィールドで人気・評価・存在感を高めてきた。

 イブラヒム・フレンとの会話は、常にフリーで奔放なトークとなってリスナー・ファンの注目を集めていった。1人が会話を進めようとすれば他の2人が別の話題で会話をはじめたり、ゲーム内の進行を度外視して勝手に動いて注意しあうなど、コロコロと主導権が入れ替わっていく目まぐるしい会話劇を見せてくれた。

仲良しメイフ3人組のコラボ配信シーン【メリッサ・キンレンカ / イブラヒム / フレン・E・ルスタリオ】
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 2021年7月から9月にわたってメリッサ・イブラヒム・フレン3人で3Dお披露目配信をした際には、メイフでは最後となったメリッサの配信に3人が集合。

 「みんな忙しいと思うけど、3人で集まりたかった」とメリッサが語り、もはやナチュラルコントといいたくなるような3人の掛け合いは、ほのぼのとして安穏なムードをともに持っている3人だからこそ生み出せる質感であった。

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