Switch、Xboxに対応の『Fall Guys』 新たな展開に秘められた「再ブレイク」の可能性

 『Fall Guys: Ultimate Knockout』(以下、『Fall Guys』)が6月21日より、新たにNintendo Switch、Xbox、Epic Games Storeに対応。基本プレイの無料化にくわえ、プラットフォームをまたいだクロスプレイが実装される。

 2020年夏にはPlayStation4、Steamでローンチされ、一躍トレンド化した同作。リリースから約2年での新たな展開は、再度ムーブメントを巻き起こすきっかけとなるだろうか。対応プラットフォームの拡張、無料化、クロスプレイの実装に秘められた可能性を考える。

“カジュアルさ”がウリの対戦バトルロイヤル『Fall Guys』

Fall Guys - Gameplay Trailer | PS4

 『Fall Guys(フォールガイズ)』は、多種多様なステージで最大60人がノックアウト方式の戦いを繰り広げるオンライン対戦バトルロイヤルだ。プレイヤーに許された行動は、移動やジャンプ、ダイブ、つかむといった基本的なものばかり。ルールも同様にシンプルで、鬼ごっこや障害物競走、落下から逃れるサバイバルといったコンセプトのものが豊富に用意されている。着ぐるみを身につけたような愛くるしいキャラクターを操作する点も特徴。そのゲーム性やビジュアルから、難しいアクションが苦手な層にも広く受け入れられているアクションタイトルだ。

 同作は、2020年8月にPlayStation4、Steamでローンチされるやいなや、あっという間に膨大なプレイヤー数を抱えるトレンドタイトルとなった。2021年2月には、Nintendo Switch、Xboxでの開発が発表されたものの、当初予定していた同年夏の発売を延期。今回、約1年越しでようやくリリース日が確定した形だ。

 この展開にあわせ、これまでPlayStation Storeで2,090円(税込)、Steamで2,050円(税込)だった価格を改定し、基本プレイ無料のタイトルとなることも明らかとなった。今後は、クロスプレイやクロスプログレッション(※)にも対応する。なお、既存のプラットフォームにて有料で購入したユーザーには、特別なコスチュームなどを封入した「レガシーパック」が、補填として配布される予定だ。

※複数のプラットフォームで進行状況などを共有する機能

新たな展開は『Fall Guys』復権の呼び水となるか

 満を持して対応プラットフォームを拡張する『Fall Guys』。あわせて実施される無料化とクロスプレイの実装は、同作にとって分岐点となる可能性がある。

 ローンチ当初、一大ムーブメントを巻き起こした『Fall Guys』だが、約2年が経過した現在では当時の勢いを失いつつあり、作品として徐々に衰退の道を辿っている現状だ。Steamにおけるプレイデータを閲覧できるサイト「Steam Chart」(https://steamcharts.com/app/1097150#All)にて同作を検索すると、リリース直後の2020年8月には12万5,000を記録した同時接続数が、直近の2022年4月には約6,700まで落ち込んでいることがわかる。もちろんローンチ時は爆発的な流行であったため、2つのデータを一概には比較できない。だが、2021年1月ごろまでは10,000を下回ることがなかった状況を考えると、コンテンツとしての真価が試される局面を迎えているのは間違いない。ある程度ブームが収束しつつあったその時期とくらべても、3割超の減少。マッチングにかかる時間の増加から、ユーザー離れを肌で感じている現役プレイヤーも少なくないはずだ。

 ゲームクリアのないあらゆるタイトルに共通する課題を抱える『Fall Guys』にとって、Nintendo Switch、Xboxへの門戸の開放は、局面を打開する一手となり得る。そこにタイミングをあわせて無料化を実施すれば、より大きな数の新規参入も期待できるだろう。特にファミリー機であるNintendo Switchのユーザーとは相性が良い。2,000円では手に取らなかったプレイヤーも、「無料なら試しにプレイしてみよう」となるのではないか。年齢・性別を問わない『Fall Guys』のゲーム性・ビジュアルは、前述したとおり、ライトユーザーにこそ刺さるものであると言える。友だちや家族とプレイすることを、いまから楽しみにしている両プラットフォームのユーザーも多くいるに違いない。

 また、クロスプレイの実装も、こうした状況には追い風となる。これまでは共に遊べなかったフレンドとのプレイも可能となるからだ。特定の層にとってPlayStation4やSteamはメインストリームでないため、1人、または限定的な集まりのみでしか同作を遊べなかったケースも考えられる。「ソロゲー」から「パーティーゲーム」へと立ち位置が変化することで、新たな楽しさに気づいてもらえるチャンスも出てくるのではないだろうか。

 実際にSNSなどを見ていると、今回のニュースは、予想した以上に好意的に受け止められていた。まとまった数のプレイヤーにすでに浸透していたはずの同作だったが、「触れたくても触れられない」「無料ならぜひプレイしてみたい」「Nintendo Switch、Xboxユーザーのフレンドと遊びたかった」という層は少なくなかったようだ。

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