イーロン・マスクが「人間とAIの融合」を計画中 脳とスマートデバイスを直接繋ぐ方法とは?

 イーロン・マスクのテクノロジーに対するアプローチは、私たちを新世代のスマートな自動車や生活様式に導いた。彼の次の目標は人間とAIの融合だ。

 マスクは2016年にニューラリンク社を共同設立し、人間がスマートデバイスと直接繋がれるようにする脳直結のインターフェースの開発に取り組んでいる。

 ニューラリンクが開発しているインターフェースは髪の毛より細く、柔軟性の高い糸を使用する。これを脳に接続し、神経細胞から送られる脳波を感知し、糸と先にあるチップがこれらの信号を増幅後、コンピューターが理解できるコードに変換し、デバイスに送る仕組みだ。

ロボット外科医

 埋め込みは「ロボット外科医」が行う。顕微鏡とミシンが合体したような機械だ。「ロボット外科医」は血管を回避できることから、炎症や内出血を防げる。

 インターフェースが動かせるデバイスとしては、スマートフォンやパソコンだけではなく、義足や義手も想定されている。

 脳とコンピューターを繋ぐインターフェースは競合のテック企業だけではなく、米軍や大学の研究機関も開発している。

 2006年にブラウン大学の研究者によって開発されていた「ブレインゲート」と名付けられた器具は、硬い針が連なった剣山のようなデバイスを脳に繋ぎこむ。このデバイスの問題は、脳が頭蓋骨の中で位置を変える時に、脳にダメージを与える可能性がある点だ。

 ニューラリンクの技術は硬い針ではなく、柔軟性の高い糸を使うため、この問題を解決できるかもしれない。

 これらのインターフェースを使用する際は、一般的には頭蓋骨にドリルで穴を開ける必要があり、リスクが高いことからアメリカ食品医薬品局(FDA)から認可を得るのが難しい。ニューラリンクはドリルではなくレーザーで穴を開けることで、負担を減らせないかと考えている。

 競合のシンクロン社は頭蓋骨に穴を開けるのではなく、患者の静脈から脳に送り込むアプローチを取り、いち早く臨床試験を行うための認可を得た。シンクロンはすでにオーストラリアの4人の麻痺患者の脳にインターフェースを移植し、この技術が安全であることを実証したことから、アメリカで6人を対象に臨床試験を実施する予定だ。

 最終的な目標は、人間とAIの融合だ。では、すでにスマホやタブレットなどを使ったAIを操作できるのに、なぜ合体する必要があるのだろうか。それはデバイスを介すと、AIと直接的なインタラクションを持てず、処理スピードがタイピングや話しかけるスピードに制限されるからだという。

 ニューラリンクの外科医のトップであるマシュー・マクドゥーガルは「将来、インプラントをレーシック手術のように(手軽に)したい」と展望を述べた。マスクは「最終的には、人工知能との共生を実現する」と語っている。

(画像=Independentより)

〈Source〉
https://www.independent.co.uk/tv/culture/elon-musk-human-ai-technology-b2074102.html
https://www.siasat.com/musks-neuralink-rival-synchron-launches-human-trial-of-brain-implant-in-us-2324392/

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