ビジネスとクリエイティブを拡張する Adobe Expressの可能性
セレクトショップはどのようにYouTube&Instagramを活用すればいい? 神宮前「Moore Tokyo」と考える(前編)
ーー衣服は流行とともにある商材だと思いますが、流行に対してどのように向き合っていますか。
谷川:最近は流行のサイクルが早すぎて、ぼんやりと今はこれが流行っているなと感じることはありつつも、それを言語化するのはすごく難しいですね。ここ2年ほどはコロナの影響で外出する機会が減った中で、それでも服を買ってくださる方は何を求めているのだろうか、と考えを巡らせることもあります。変化の激しい時代なので、より敏感にアンテナを張るようにしています。
今ではファストファッションやフリマアプリがたくさんあって、お金をかけずにいくらでもファッションを楽しめる時代ですが、それでもうちみたいなお店に来てくれる人は、デザイナーさんがこだわって作った服を、一種の「作品」だと思ってくれている。作りやパターンや加工などの細かいこだわりに魅力を感じて、高いお金を払って買ってくださっているので、実店舗にはデザイナーさんの思いや服の魅力を伝える場としての役目もありますね。SNSやWEBショップの文章だけでは、伝えきれないこともありますから。
ーーSNSにおける流行についてはどう考えていますか。
谷川:良くも悪くも、SNSは写真の印象が強いので、パッと見てインパクトのある服が目立っちゃうなと感じることはあります。色使いが派手なものや、変わったシルエットのものが目立ちやすくて、逆にシンプルな服は目立ちにくい。そういった目立ちにくいものに光を当てるのも、服屋の役目の1つかなと思ったりします。だからこそ、新しいお店や、よく行くお気に入りのお店に行って、いろんな服に出会ってもらいたいですね。
ーーWEBで目立つような「加工」もありますよね。ハイコントラストでメリハリの効いた画像は目を引きます。
谷川:僕はなるべく実物に近い色を載せるようにしています。コントラストを強調して目に留まるような画像を使う店もありますが、お客さんが、「全然色が違う!」って感じたら良くないですよね。お客さんを故意的には裏切りたくないので。
ーーそのほかに、SNSを運用する上でのポリシーはありますか?
谷川:Instagramは、極力シンプルであることを心がけてます。商品正面のわかりやすい画像と商品名だけで投稿したり、「入荷しました」の告知だけだったりと、端的にわかりやすい投稿をしています。一方でYouTubeでは、しつこいぐらいに商品の良さを説明するようにしていて、両者の使い分けは特に意識していますね。
ーー今回使っていただいたAdobe Expressでは、Instagramの投稿やYouTubeの動画サムネイルなどを簡単な手順で制作できます。
谷川:テンプレートがたくさんあっていいですね。YouTubeのサムネイル用や、Instagramのストーリー用、このあたりは頻繁に使うのでありがたいです。「この機能で基本無料なんやな……」と驚いています。
多数のテンプレートに即アクセスできるのもAdobe Expressの魅力だ。
谷川:スマートフォンで使えるのもいいですよね。今は僕とスタッフ1名で回していますが、若いスタッフはコンピューターの操作に慣れていないことも多くて、普段から触っているデバイスでこういうクリエイティブが作れるのはありがたいですね。将来的に店舗拡大やスタッフの増員があっても、新しいコンピュータを買うのではなく、スマートフォンで対応できるならコストの削減にもなるしありがたいですね。
実店舗とオンライン、2つの側面の魅力と課題について伺うことになったインタビュー前編。後編では「Moore Tokyo」のワークフローの中でAdobe Expressが活躍する場面について伺った。