VTuberとストリーマーの“壁”を壊した、奈羅花の負けず嫌いとゲーム愛
「VTuberがストリーマーの界隈に入っていくことにあたしは否定的だった。リスナー層が違うわけで、お互いのリスナーがびっくりして驚くようなことをすることを配信者側はすべきではないと否定的だった。いまより(2022年1月配信時点)VTuberとストリーマーとの壁が元々高かったしね」
彼女がこのように振り返っているように、2021年初めのころはVTuberとストリーマーとのあいだにまだ壁があった。そんななか3人が組んだ「卍Ψ鬼†神Ψ卍」は、配信内容の面白さとプレイングの強さが備わった稀有なユニットとして、3人の知名度を大きく広める契機となったのだ。
奈羅花自身もこの大会をきっかけにして考えを改め、自身のFPSプレイヤーとしての側面を全面に生かすような配信者へと成長していくことになる。
『CRカップ』『VTuber最協決定戦』などのにじさんじ外で開催される数々のカジュアル大会・企画へと参加。月イチペースでなにかしらの大会や企画に参加しているとなると、その数は10個以上とかなりのものだろう。
一番直近では、2022年2月12日〜13日にかけて開催された『第2回 Crazy Raccoon Cup VALORANT』に参加。2021年年末に肋骨や鎖骨を骨折を伴う大ケガを負っていたなかで練習カスタム戦に臨み、深夜遅い時間まで毎日のように二次会を開いては『Overwatch』『Fall Guys』などの別のゲームを遊ぶほど。
本大会での結果は振るわなかったものの、大会終了後には憂さ晴らしのように10時間以上に渡って大会メンバーとともに遊びつづけるなど、底知れぬゲーム体力を見せつけることになった。
約1年の時間が経過し、そこには「勝つことにしか興味がなかった」というあのころの奈羅花ではなく、「ゲームをすることの楽しさ」を謳歌する奈羅花がいたのだ。
彼女が起こしたブレイクがその後に与えた影響は大きい。カジュアル大会でもVTuber×ストリーマーという組み合わせが増え、普段の配信でもコラボすることが多くなったことで、VTuberとストリーマーとの隔たりは少しずつ無くなり、ファンのなかでも「VTuber/ストリーマーは面白い」と認知を改める契機にもなった。今後もこの傾向は強まっていくのではないだろうか。
「あたしは元々ストリーマーさんのリスナーだった」というように、ネットでゲーム配信するストリーマー・実況者・プロゲーマーらのファンであることを明かしている彼女。『Overwatch』のプロとして活動していたStylishnoob、釈迦、SPYGEAを始めとしたプロゲーマー界隈に詳しいだけでなく、配信中に海外プロゲーマーの配信や名前をあげてその内容について触れることもある。
また、加藤純一やKUNといったニコニコ動画で活躍した実況者も10年近く前から見てきたことを明かしており、彼女いわく「ニコニコ動画を見ていないオタクとは仲良くなれん」とのこと。
ネットカルチャーへの造詣も深く、ファン心理をよく理解しているのも彼女。過去にあった配信ネタだけではなく、Crazy Raccoonが昨年9月に起こしてしまった不祥事に関しても、近しい立場ということもあってお笑いネタにして話題にあげ、リスナーと一緒に笑いあってしまうほど。
コメント欄にさまざまな疑問が届くと、応えられる範囲でキッパリと意見を述べてみせるなど、その配信姿勢やスタイルは女性VTuberとは思えないほど強面だ。この辺りからも、ストリーマー・実況者・プロゲーマーらの配信を見続けてきた影響が感じられる部分だろう。