小説家デビューのにじさんじ・来栖夏芽が持つ、配信者&作家としての「高いタレント性」
現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一社であるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。
メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ1年ほどはエンターテイメントなフィールドで、アーティストとして陽の目を浴びる者も増加している。
今回記すのは、先日「ライトノベル作家」という、バーチャルタレントとしては類を見ない形で一気に衆目を集めることになった来栖夏芽についてだ。
来栖は2019年12月29日にし、ましろ、奈羅花と共にデビュー。同期3人でまななつというグループを組んでおり、折を見てコラボ配信をすることも多い。
ホラーな要素を多く含んだオリジナリティ溢れる配信が多いましろ、FPS〜サバイバルゲームを通じて多くのバーチャルタレントやストリーマーらと交流をしている奈羅花、彼ら2人ともまったく別の活躍をしているのが来栖夏芽だ。
彼女がデビューをするきっかけとなったのは2019年8月2日に開催された第一回「にじロック」だったと、YouTubeで初配信する以前より、Twitterで明かしている。
実はわたし前回のにじロックがあったから今ここにいる
— 来栖夏芽🐏🎵にじさんじの新人作家 (@kurusu72me) December 26, 2019
人当たりが良く優しげで、にじさんじのなかでも「清楚」と喩えられることも多い来栖だが、2020年2月の雑談配信で語っていたオーディション時のエピソードを聞くと、彼女もまた「にじさんじ」らしさを兼ね備えているのが良く伝わってくる。
「審査通過のメールが届いたのは、大学の昼休みを外で食べているとき。『早く返さなければ!』と昼食を脇において返信メールを送り終えたが、食べていたご飯を鳩に盗られた」
「面接に関するメールの最後に『服装・持ち物自由(評価には影響しません)』と書かれていて、これはボケのフリかなぁ?と思っていた。鼻メガネを着けていこうとしたけど、結局近所の百均では入手できなかったから、仕方なくエレキギターを担いで面接へ行った」
「あたしが『あれってフリじゃないんですか?』と聞いたら、『普通に面接です』と言われて、『ああぁ……そうですよね! 私もそう思ってました』としのいだの。スタッフから『え?ギター弾けるんですか?』と聞かれて、『全然弾けません! Fコードもろくに鳴らせないんですけど! とりあえず持ってきました!』と答えたら、不思議な空気が流れたの」
大喜利の「フリ」かと思っていたという切り口でこの話をしていることから、彼女のセンスがいかに鋭敏かつ豊かであるかが伝わってくるだろう。
リスナーや同僚らに対する物腰は柔らかく、穏やかな声色とトーンでASMR配信も多くこなす彼女だが、雑談配信などではリスナーを驚かせたり笑わせようとダジャレをよく口走り、先に述べたようなエピソードに繋がるひょうきんな一面を見せることも多い。
リスナーからは「はぁ?」と返事されることも多いが、その行動の裏には彼女の無邪気な人柄がそうさせているのではと思わせてくれる。
アクションゲームは不得手であるものの、『Minecraft』を多くプレイしている。『マイクラ』は山神カルタ、空星きらめ、朝日南アカネらと仲良くなるきっかけとなり、桜凛月、小野町春香、町田ちまといった先輩らとも絡む機会となった。
また、カードゲームやパズルゲームで巧みなプレイを見せることが多く、特にカードゲーム『Magic:The Gathering』への熱量は同僚ライバーやファンには知られているところ。
葛葉や社築と共に『Magic:The Gathering アリーナ』で対決するイベント『マジック:ザ・ギャザリング にじさんじ vs. プロゲーマー〜秋の夜長の大対戦会〜』に出演した際には、MTGプロプレイヤーの行弘賢から勝利。MTGへの理解力や実力は非常に高く、リスナーにルールをしっかりと教えられるというレベルをとうに超え、にじさんじ内のカードゲーム好きのなかでも一目を置かれるほどだ。
これに加えて、インドア〜文芸趣味が自身の配信内容に強く表れている。にじさんじ内でもイラストが上手く、お絵描き配信では柔らかい曲線や淡い色をうまくつかったイラストを仕上げてみせる。
2020年2月にはにじさんじ公式BOOTHを通し、「まななつ」オリジナルグッズのデザインやイラストを担当。缶バッジ、クリアファイル、ICカードステッカー、モバイルバッテリー、パスケース、トートバッグ、サコッシュ、パーカーの8種と多彩なラインナップを販売していた。
YouTubeチャンネルのメンバー限定で使用できるメンバースタンプやカスタムスタンプも自作し、2021年にはショート動画「なつめぇ絵日記」を連載していた。後に「なつめぇ絵日記」としてLINEスタンプ化されるなど、その画力・美的センスはリスナーに非常に好評である。