コロナ禍での卒業式。ある高校が設置した「プリクラ機」が話題に 担当教員に聞く“経緯と生徒の反応”

 2020年春から続く、新型コロナウイルスの感染拡大による学校行事の中止や延期。当時最高学年ではなかった生徒も、コロナ禍を抜けぬまま、この春に卒業することとなった。

 そんななか、ある高校が卒業式の日、学生たちへせめてもの楽しみをと用意した“贈り物”が、SNSを中心に話題となっている。

 札幌創成高校が卒業式の日に学校へ設置したのは、SEGAの最新プリクラ『lalamee』。普段はゲームセンターや専門店にいかなければ使えないプリ機が、無料で好きなだけ撮影できるとあって、学生たちは大喜び。ブース内には人があまり入れず、しっかりと密を回避できるうえ、順番待ちもしっかりと整理されているなど、ソーシャルディスタンスを取るための策も取られており、SNSでは「神対応」「うちの学校にも欲しかった」といった声が寄せられている。

実際に高校に設置されたプリクラ機と生徒たち(画像提供=札幌創成高校)。

 とはいえ、なかなか簡単にいち学校がこのような施策を取るのは大変だったに違いない。導入にあたっての経緯や生徒たちの反応について聞くため、実際に同校の教員へメールインタビューを行った。

 まず、プリクラ機を卒業式に導入することになった経緯について、担当教員はこう語る。

「修学旅行など様々な行事が中止となってしまった卒業生たちのため、3年生の担任教員が校長へ『なにか思い出になる企画を作って欲しい』とお願いをしたところからスタートしました」

 その後、HTB(北海道テレビ)で放送されている朝の情報番組『イチモニ!』で実施されている「もうすぐ卒業する学生の皆さんから、イチモニとタッグを組んでやってみたい『本気の思い出作り』を募集」する企画「青春パシャリ」へ応募し、見事採用に。『lalamee』を開発しているSEGA社全面協力のもと、実際に導入する運びとなった。

 しかし、機体のサイズが大きいことから「設置場所には苦労した」という。

「機械が大きいため、なるべく一階かつ密防止のため生徒が並ぶことができるスペースがあること、それでいて機械保全のために気温が下がりすぎない場所を検討した結果、なんとか最終的な設置場所を決定することができました」

落書き機能も存分に活用し、プリ機でしか撮れない“卒業写真”を作り上げた生徒たち(画像提供=札幌創成高校)。

 当日の設置にあたっては、生徒にサプライズ的に発表したというわけではなく、生徒及び保護者へ事前にアナウンスしたうえで実施したという。卒業式の日の様子について、教員はこう語った。

「生徒たちは喜んで使用していましたし、先生と一緒に撮れて喜んでいる様子も見られました。卒業アルバムや卒業証書と一緒に写る生徒が多いなど、学校に設置したからこその写真が撮れたのもよかったです。新旧の生徒会長が『送辞』『答辞』をもって写っているのも卒業式の学校ならではでした」

送辞と答辞を持って撮影する新旧生徒会長(画像提供=札幌創成高校)。

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