連載「MCUの『ゲーム横丁8丁目』」第1回:スーパーカセットビジョン

ファミコンを買えず、仕方なく手に入れた「スーパーカセットビジョン」に人生を狂わされた話

 さまざまな懐かしのハードが“ミニ”になって復刻したり、海外では中古ソフトの価格が高騰したりと、近年色んな意味で改めて注目が集まっているレトロゲーム。そんなレトロゲームについて、音楽業界随一のゲーマー&レトロゲームコレクターとして名高い、KICK THE CAN CREWのMCUがひたすら語り尽くす連載「MCUの『ゲーム横丁8丁目』」がスタートする。

 連載の初回として取り上げるのは、彼が初めて買ったハードである『スーパーカセットビジョン』。リアルタイム世代にとっては懐かしく、後追いの世代にとってはファミコンの影に隠れた知る人ぞ知るハードに、MCUはなぜ惹かれたのだろうか。(編集部)

スーパーカセットビジョンとの運命的な出会い

スーパーカセットビジョン(MCU私物)

 連載第1回の今回は、僕が初めて買ったゲーム機、エポック社の『スーパーカセットビジョン』についてお話ししたいと思います。

 当時、小学生だった僕は、誕生日に母親にゲーム機を買ってもらうために家電量販店(ビックカメラ池袋店)に連れて行ってもらったんですね。

 当然、そのころ大人気だった任天堂の『ファミリーコンピュータ』が欲しくて行ったんですが、『ファミコン』は人気すぎて、もうSOLD OUT状態だったんですね。当時のガキなんて『コロコロコミック』脳なんで、どうしてもその日にゲーム機を買ってもらって、持って帰ってすぐに遊びたかったんですね。

 

 でもファミコンは、売り切れで売ってない。そこでうちの母親に「売ってない」というと絶対に「入荷するまで、少し待ちなさい」っていわれるのは目に見えていたんで、ちょっと軽く子どもながらの芝居をして、「あ、ファミコン売り切れていたけど、もっと欲しい機種があった!」って『スーパーカセットビジョン』を見て言っちゃったんですよ。

 もう、何かを買って帰ってすぐにやりたい気持ちが抑えられなくて(笑)、それで買ってもらったのがスーパーカセットビジョンなんですよね。

ゲーム大好き少年だった小学生時代

 

 当時から僕はゲームが大好きでした。だけどLSIゲームとかそういうのばっかりで遊んでいましたから、ファミコンは本当に欲しくてたまらなかったんです。でも売り切れているという……。

 あとは近所のお兄ちゃんの家にいって『MSX』で遊ばせてもらったりしていました。『わんぱくアスレチック』とかで遊んでいましたね。

 そのころ、スーパーカセットビジョンのことは、存在は知っていましたがほぼ何も知りませんでした。その前の機種の『カセットビジョン』の知識は少しありましたけど、知っているのはそれぐらいですね。ファミコン人気、全盛でしたから。

 案の定、小学校を卒業するまでスーパーカセットビジョンを持っている同級生はひとりもいませんでした(笑)。でも、そのおかげで後輩と仲良くなったという思い出はあります。青木くんという子なのですが、めちゃくちゃゲームがうまいんですよ。後輩なのに、ベーシック入門でもゲームをサクサク作れちゃうし、ドラゴンスレイヤーもサクサク進んじゃって、勝手に裏ワザとか見つけちゃうやつで、よく教わってましたね。

 ちなみに、ファミコンは友達の家でやりました。自分の中でファミコンは“友達の家に遊びに行ったときにできるゲーム”という感じでしたね。それで、自分の家に帰ってきたらスーパーカセットビジョンで遊ぶみたいな生活でした。

初めて買ったゲームは『ルパン三世』

 

 スーパーカセットビジョンで初めてプレイしたゲームは、本体と一緒に買った『ルパン三世』でした。

 最初にルパン三世を選んだのは、アニメの有名なタイトルだし、あと横スクロールのアクションゲームがやりたかったからです。

 いざ買って遊んでみたら、タイトル画面以外にBGMがないというね(笑)。ゲーム中、効果音はあるけどBGMがない。でも遊びまくりましたよね(笑)。4面までしかないんですけど。4面をずーっとループして、やり続けるしかないゲームでした。

 ルパン三世の次に買ったゲームは『ネビュラ』だったかな。それも横スクロールでシューティングゲームでした。ネビュラは1面の途中でモアイ像が出てくるんですよ。それだけで、もう『グラディウス』って呼んでいました。当時は「グラディウスを超えた」なんて言っていましたね(笑)。

 そういえば、当時はゲームセンターにはすごく行っていました。あと駄菓子屋とか。駄菓子屋にミニアップライト筐体が並んでいて、暗幕を張ってやるようなところでもアーケードゲームをやっていました。

 ゲーセンは、地元・巣鴨のキャロット(ナムコのゲームセンター)がホームで、すごくいい環境でした。なので、家でもゲームが遊びたいという気持ちがとにかく強かったですね。

 だから、最初にファミコンを見たときに「家で『ドンキーコング』ができるなんてすげーなぁ」と思ったし、憧れがハンパなかったですね。家でゲーセンのゲームが遊べるって、衝撃でしたね。たぶん、僕ら世代はみんなそうだと思うんですけど。

 だけど、ファミコンは売り切れていたという(笑)。

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