『テレビゲーム総選挙』と『紅白歌合戦』 2021年末、ゲームの話題で世間を賑わせたテレビ番組に思うこと

“巨匠への追悼”が、2021年紅白歌合戦の名シーンに

 他方では、2021年9月30日に亡くなったゲーム音楽界の巨匠・すぎやまこういちを追悼する番組・企画も話題を集めた。なかでもホットトピックとなったのが、『第72回 NHK 紅白歌合戦』におけるドラゴンクエスト楽曲のパフォーマンスだ。同番組内では「2021年に世の中に勇気を与えた3作品」のひとつとして、『ドラゴンクエスト』をピックアップ。『東京2020 夏季オリンピック』開会式の入場曲にもなった「序曲」と、上述のランキングにも入った『ドラゴンクエストIII』のエンディング曲「そして伝説へ」を、すぎやまこういちと長年にわたり、シリーズ音楽の録音・コンサートを行ってきた東京都交響楽団の演奏で届けた。

 視聴者からは、「敬意を込めた番組制作」「NHKだからこそできる一流オーケストラの起用」「『ドラゴンクエスト』シリーズの扉を開く音から始まる粋な演出」などに称賛の声が殺到し、Yahoo! JAPANでは、「すぎやまこういち」のワードがトレンド入りも果たしている。同氏の名がトレンド入りするのは、オリンピック開会式の7月23日、訃報が明らかとなった10月7日、テレビ朝日系『題名のない音楽会』で追悼企画が放送された10月23日、お別れの会が執り行われた12月11日以来、2021年で5度目。8,062件という反応数は、お別れの会時の7,687件を超えるものだ。2曲とは言わず、5曲でも10曲でも聴きたかったゲームフリークは多かったはず。死してなお尊敬され、話題となり続ける作曲家・すぎやまこういち。彼が90年の生涯で描いてきた軌跡の偉大さをあらためて感じる、2021年の年末だった。

 2022年は、「ゲーム」にとってどのような年となるだろうか。ネガティブなニュースよりもポジティブなニュースが目立つ1年となることを願いたい。

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