2022年、ゲーム業界はどこへ向かう? 昨年の主要トピックから今年の動向を予測
寒波の到来とともに幕を開けた2022年。今年はゲーム業界にとって、どのような1年となるだろうか。昨年の主要なトピックを足がかりに、2022年のゲーム業界の行く先を予測する。
2021年のゲーム業界を賑わせたトピックたち
ウマ娘プリティーダービーの快進撃
2021年を代表するゲーム業界の動きとして、まず紹介しておかなくてはならないのが、モバイルゲーム『ウマ娘プリティーダービー』(以下、『ウマ娘』)の快進撃だ。iOS/Android向けアプリとして2月にサービス開始を迎えた同タイトルは、かねてからの注目とアプリ・コンテンツとしてのクオリティの高さなどを武器に、リリース直後から「アイドル育成ゲーム」の枠を超えて幅広い層に浸透。一躍、2021年のゲーム業界にその名を轟かせる大ヒット作となった。登場から5日後の3月1日には、100万ダウンロードに到達。その後も驚くべきペースで数字を伸ばし、9月には累計1,000万ダウンロードも達成した。
また、賞レースでは、『Google Play ベスト オブ 2021 』ベストゲーム、『日本ゲーム大賞2021』優秀賞、『ネット流行語100 2021』年間大賞(「ウマ娘プリティダービー」)、『ネット流行語大賞2021』金賞(「ウマ娘」)、『アニメ流行語大賞2021』銀賞(「うまぴょい」)、『#Twitter トレンド大賞 2021』16位(「#ウマ娘」)など、数々の実績を獲得。ゲーム業界だけにとどまらず、その周辺分野においても、2021年の『ウマ娘』の影響力が認められている。7月からは、同タイトル内で主要キャラクターを演じた声優たちが音楽番組に進出し、アイドルユニットとしてパフォーマンスを披露。一介のゲームタイトルとしてではなく、カルチャーアイコンとして、次なるステージに活躍の舞台を移しつつある現状だ。
「『ウマ娘』を入り口に、現実の競馬に興味を持った」という人も、数え切れないほど多くいるだろう。2021年のゲーム業界のトピックを語るとき、同タイトルの名は避けて通れない。
著名な対戦シリーズのeスポーツコンテンツ化
そのほかでは、人気対戦ゲームのeスポーツコンテンツ化も話題を集めた。6月には3D対戦格闘の草分けとして黎明期よりジャンルを牽引してきた人気シリーズ『バーチャファイター』から、前作『Virtua Fighter 5 Final Showdown』のフルリメイク作品『Virtua Fighter esports』が、9月にはサッカーゲームの定番シリーズ『ウイニングイレブン』から、ブランド名を刷新した最新作『eFootball 2022』が登場。それぞれがeスポーツ分野への注力を意識させるネーミングにより、明確に路線変更を打ち出してきた。開発・発売するセガ・コナミの両社は、現在進行形で各タイトルで競うeスポーツ大会を企画・主催する。数年前から声高に叫ばれてきたeスポーツ市場の“爆発的拡大”が、ようやく間近に迫ってきたということなのだろう。変化への対応が提供側にとっては喫緊の課題となりつつあるのかもしれない。
半導体不足が巻き起こした、新世代ハード浸透の遅れ
新コンテンツの台頭、既存ブランドの変化といった前向きなキーワードが2021年を象徴してきた一方で、ハードの分野では一昨年末、“鳴り物入り”で登場した新世代機の浸透が、半導体不足によって足止めを食らっている。2020年11月のローンチ以降、マーケットの大きさなどから流通に“海外市場重視”の傾向があったPlayStation5に対し、Xbox Series X/Sは比較的入手しやすい時期が続いていたが、今後は両ハードとも生産・供給に大幅な遅れが出る見通しだ。主要各社のアナウンスによると、楽観的な予測でも2022年上半期いっぱい、悲観的なものでは2023年初頭まで手に入りにくい状況が続くとのこと。この問題が新たなソフトの開発・発売に影響を及ぼしているのは明白で、リリース時には予想できなかった事態にゲームカルチャー全体が停滞させられている。近い時期でのローンチが噂されている任天堂の次世代機にも、見えないところで影響を与えているであろうこの問題。2022年以降のゲーム市場をうらなう上で、注視せざるを得ない重要事項であることは間違いない。