『あつまれ どうぶつの森』ver. 2.0に感じた、任天堂の「遊ばれ続ける」ための巧みな戦略
『あつまれ どうぶつの森』のクリスマスイベントが終了し、カウントダウンイベントが始まろうとしている。今年の11月には「ver. 2.0」の大型アップデート(※1)が行われたことは記憶に新しい同タイトルだが、それとほぼ同時に、こんなニュースが話題になったのを覚えているゲーマーもいるだろう。
「『あつまれ どうぶつの森』を9,999時間以上遊んだユーザーが現れる」
10月には『スマブラSP』の追加DLCが約3年をかけてついに完結したことも話題となるなど、オンラインのアップデートを通した、長期間にわたる拡張コンテンツ開発を前提としたプレイスタイルは一般的になっている。
このように「継続して」一つの作品をプレイし続けられるのは大作ゲームの魅力だが、よく考えてみれば一つのコンテンツに数百・数千時間もかけるのは特殊なことだ。映画であれば1作およそ2時間で完結するのだから。
じっさい『あつ森』は長い期間遊ばれている一方で、一部ではあるが「すぐ飽きる」という声もあるにはある。その気持ちも、わからなくはない。
たしかに「島クリエイター(※2)」の実装までは「できることが増えていく」感は強かったものの、それ以降はひたすらに島を豊かにすることだけを強いられ、正直「果てしな」さすぎて途方に暮れることもあるかもしれない。
この「果てしなさ」を感じるのは、ちょうど「島クリエイター」を一通りプレイしつくした後から「プレイヤーの達成度」が見えにくくなるのが原因の一つだろう。たとえばRPGであればレベルが上がるように、オンラインの対戦ゲームであればランクが上がるように、「達成度」を定量化・可視化することでプレイヤーを没入させる手法はあらゆるゲームで使われてきた。またその手法はライフログやマーケティングなど日常のあらゆる場面にまで侵食してもいる。いわゆる「ゲーミフィケーション」である。
こうした達成度の可視化による没入という点ではたしかに『あつ森』は飽きやすいのかもしれない。