キズナアイ登場から5年、すべての「バーチャル」が同じステージにーー2022年はさらなる“越境”に期待

すべての「バーチャル」が集った2021年

すべてが「バーチャル」に集う未来へ

 キズナアイが産声を上げて5年が経ち、「バーチャル」という言葉は、これ以上となく広い意味を指す言葉として広まった。それはときにVTuberを指すこともあれば、ソーシャルVRを指すこともあり、はたまたVRコンテンツを指すこともある。だが、「バーチャル」が指し得るそれぞれのカルチャーは、これまで交わるようで交わることがあまりなかった。

 『SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland』のバーチャルアーティストのトリを飾ったのはキズナアイだった。彼女の出演を待っている間、同じように待つ観客の談笑を耳にした。「キズナアイでVRを知ったんですよね」「ミライアカリがVRChatに行く動画でVRChatに興味を持ったんだよ」……熱っぽい語り口から、VTuberのファンも、VRChatの住人も、その出発点は同じなのかもしれないと、筆者はあらためて考えた。その機会を得たのが、キズナアイが降り立つ、「メタバース」と呼ばれ始めたVRChatのステージであることは、とても象徴的であるように感じた。すべての「バーチャル」が交わり始め、そしてメタバースというステージの上に、ついに集った……それが、2021年という一年の締めくくりになるだろう。

 未来の予測は常に容易ではない。このバーチャルな世界においてもそれは同様だ。ただ、2022年には「さらに交わり続ける」のではないかという予感はある。VTuberも、メタバースの住人も、YouTuberも、ストリーマーも、リアルのタレントも、あるいはビジネス人も、全員がアバターを持ち、ひとつのメタバースに、あるいは配信に集う場面は増えていくだろう。境界はさらにあいまいになり、バーチャルという「オルタナティブな現実」を作り出していく――そんな一年になれば、きっと未来はもっと楽しくなるだろう。

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