にじさんじ・白雪巴が大切に育てた、一人ひとりのリスナーとの信頼関係

 2021年12月21日に配信された雑談配信では、自身の配信視聴者のうち女性リスナーが40%を超えたことを明かしており、現在でもVtuberの視聴者においては男性が大多数を占めるなかにおいて、彼女の活動スタンス・配信内容などが女性にも大きく影響を与えていることがうかがい知れる。

 白雪は2021年11月末に子宮内膜症の手術を受け、その結果を打ち明ける配信を行なった。デリケートかつ重大な内容ということもあり、多くのリスナーがショックを受けた。白雪も「自分の身をもって、もっと早く行動を起こしていればと後悔しているので、お話できる範囲で話したかった」と語っており、女性として/バーチャルタレントというインフルエンサーとしての、勇気を持ったこの発信に、感謝の言葉が多く交わされることになった。

【体験談】生理痛を放置してたら手術することになりました。

 こうしてみると、ゲーム配信中のはしゃぎっぷりや強気な姿勢と、雑談配信の真摯に言葉を紡いでいく姿勢とには、まるで大きく隔たりがあるかのように見える。もちろんどちらも白雪巴という人物の懐深さであり、大きなギャップとしてファンに愛されている。

 「落ち着いたムードがある」というと感情の揺らぎが分かりにくいとも受け取られそうだが、彼女の場合はむしろ逆。アクシデントが起こるとそれまでの柔和なムードから一転、「はぁ!?」と声色がガラっと変わり、情緒豊かに感情を露わにしていく。

 普段のイメージに引っ張られてしまうと、にじさんじのタレントを追いかけているファンといえども驚くかもしれない。活動初期は大人数のコラボ配信などにおいては自身を知らないファンからの視線や言葉に臆することが少なくなかったが、現在では活動も3年目。対話を重ねて積み上げてきた堅牢なるファンダムに支えられ、大人数の前でも自分らしさを発揮できる能力と自信が漲りつつあり、「苦手意識が無くなってきたかも」と口にした。

 2022年1月22日の『FANTASIA』において、彼女は大型ステージイベントに初めてデビューすることになる。これまでにも歌ってみた動画や外部コラボとしてオリジナル楽曲を発表してきた彼女。持ち前の柔和なイメージはクール&ビューティな姿に変わり、温かみある声色から様々に表情を変えていくボーカルでリスナーを魅了してきた。


SHUT-OUT / 白雪巴【オリジナル曲】

 同日には、彼女と同じく大型イベント初出演の相羽ういはがいる。相羽がダンスで魅せるならば、白雪は歌声で魅せていく、そんな姿を想像してしまうところ。白雪は手術後の痛みとも付き合いながらライブに臨まざるを得ない状況であろうが、妥協知らずのメンタリティでライブへと向き合ってくれるはずだ。2周年記念雑談からは、彼女の頑固すぎるほどの意志の強さは、デビュー前から変わらないのだと気づかされる。

 「デビューしたときから、なんならその前から決めていることがある。オーディションのときに『あなたはなにを大事にしますか?』という質問項目があって、『私を応援してくれるファン一人ひとりを大事にしたい』と書いた。対面面接で『あなたは一人ひとりを大事にしたいといいますが、それは無理です。何百何千という人が見にくるなかで、そうやって大事にするのは絶対に無理です、どうしますか?』と言われてもなお、同じように答えたの」

 「正直落ちたと思ったけども、いまこうしてライバーとして活動させてもらっている。いまでも『一人ひとりを大事にして、支えられながら活動しているという気持ち』を大事にして活動しているつもりです。大勢の一人としてではなく、『私を見てくれているあなた』に支えられている、そんなあなたのためにいっぱい恩返しをしたいし、1月にあるライブも『あなた』に見てもらいたい」

関連記事