M-1&宮本浩次、KOC&今泉力哉、R-1&Creepy Nuts……賞レースの映像作品はなぜファンを魅了するのか

 『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)は12月15日、YouTubeチャンネルにPR動画「宮本浩次「昇る太陽」×M-1グランプリ2021 long ver.」を投稿。タイトルの通り、宮本浩次の楽曲「昇る太陽」をBGMに、M-1を戦う漫才師たちの勇士が映し出されている。

宮本浩次「昇る太陽」×M-1グランプリ2021 long ver.

 昨年公開されたCreepy Nutsの「板の上の魔物」をBGMに使用した動画も非常に支持を集めたが、今回も“漫才師のカッコ良さ”が凝縮された内容だ。さらには、動画の長さも4分とM-1のネタ時間と合わせているのも憎い。

 具体的な内容ではあるが、例年通り、様々な漫才師がM-1に対する気合いや葛藤、苦悩を話す。表では楽しそうに振る舞う漫才師ではあるが、動画内では裏の苦しい顔も覗くことができ、私たちを笑わせるために真摯にお笑いに向き合っている姿勢にグッとくる。ただ、見終わった後は「カッコ良い」という感想もそうだが、「面白ければ素直に笑おう」という気持ちにさせてくれる。12月19日の放送前に一度チェックすると、より一層M-1を楽しめるのではないだろうか。

くるりがBGMのキングオブコント

 M-1だけではなく、最近の賞レースの映像作品はクオリティが上がり続けている。今年の『キングオブコント』のオープニング映像は、『愛はなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』などの監督を務めた今泉力哉氏が演出を担当。隠れ家風な喫茶店内で、白黒のタイル柄のオシャレなテーブルにコント師が座り、ノートやパソコンを広げてネタ作りをしている風景を映している。

 BGMはくるりの「アナーキー・イン・ザ・ムジーク」を使用。ガレージロックのようなギターサウンドは喫茶店内に漂うアンダーグラウンド感にフィットし、上質なストリングスはオシャレなテーブルとマッチしている。そして、気だるそうな岸田繁氏の歌声は、各コント師から醸し出している“センス”と重なり、映像とBGMのシンクロ率が非常に高い。

 同じお笑いの賞レースではあるが、キングオブコントの映像は“柔”が、M-1は“剛”のように感じられる。ネタはもちろんではあるが、映像についても目線を向けるのも賞レースの楽しみ方なのかもしれない。

新時代の幕開けを予感させるR-1

 次にピン芸人の賞レース「『R-1グランプリ』の映像に触れたい。今年からR-1は“出場資格が芸歴10年以下”という大幅にルールが変更したからなのか、これまでバラエティ色が強かったオープニング映像も一新。Creepy NutsがR-1のために書き下ろした「バレる!」がテーマ曲となり、もちろんオープニング映像にも使用された。

 R-指定のレコーディング風景を挟みつつ、出場資格が変更されたことにピン芸人がコメントする中、〈錆びついたあの老ぼれ 邪魔なんじゃそこどいとけ 白線の内側へ I’m a 百戦錬磨の呼び声〉という歌声が――。

Creepy Nuts / バレる!【MV】

 若手芸人の野心が映像から、BGMからひしひしと伝わり、新時代の幕開けを予感させてくれる。また、R-1のオープニング映像に関しては、特に文字に対するこだわりがすごい。フォントや色、出し方まで、とにかく芸人がカッコ良く映ることを意識されており、制作側の新たに船出したR-1に対する熱意も感じる。

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