「俺たちがやっているのは『いたずら』じゃない」電撃ネットワークがYouTubeに殴り込みをかけた理由

YouTubeに殴り込みをかけた電撃ネットワーク

「電撃ネットワークの存在を、今の若い人たちに伝えていきたい」

――しかし、そこまで身体を張って芸をやり続ける理由みたいなものって、何かあるんですか?

南部:うーん……そういうのって、やっぱり見ていて面白いじゃないですか。

ダンナ:今日は、ぶっちゃけトークだな(笑)。

南部:特に今回の動画の場合は、自分が痛い思いをするわけでもなく、怪我をするわけでもなく、とても安全な場所から、それを映像で見ることができるわけですから。それはやっぱり、好奇心というか、人間の欲望だと思うんです。その昔、「火事と喧嘩は江戸の華」と言われていたように、危ないものを見たがるのが人間だと思うんですよね。特にYouTubeっていうのは、そういうメディアでもあるのかなって思っていて。

――それだけではないですけど、視聴者の好奇心に訴えかけるような動画は、確かに多いですよね。

南部:そうですよね。自分は関係ないんだけど、その雰囲気を味わうとか。世界の残酷ショーとか、そういうものを見ている人たちって、結構たくさんいたりするじゃないですか。手で顔を覆いながら、指のあいだから見ているような人って、日本の人たちにも、結構多いと思うんだけど。

――「建て前」と「本音」じゃないですけど、それを「見たい」という欲望は、必ずしも否定できないわけで……。

南部:たとえば、みんな、競争社会を勝ち抜いて、いい大学に入って、いい会社に入らないとダメだとか言っているけど、その一方で、小学校の運動会では、順位をつけたらいけないとか言っているわけじゃないですか。そういう矛盾したことが平気で行われているのが、今の世の中だと思うので、見たいものは見たいと言ったほうが、いいような気がするんですけどね。

――他人に言うか言わないかはさておき、否定するばかりでは、いつかそれが暴発してしまうかもしれないわけで……。

南部:そう、自分たちがいちばん最初に海外に行ったとき、テレビ番組か何かに出たんですけど、リハーサルのときから、黒人のスタッフの人たちが、腹を抱えて笑っていたんですよ。で、そんなに面白がってくれるなら、黒人だけの前でやってみたいなと思っていたら、ドクター・ドレーという人のラジオに出たときに、彼が自分たちのことをすごい気に入ってくれて、「今度、黒人だけのイベントがマディソンスクエアガーデンであるんだけど、君たち、そこに出てみないか?」と言ってくれて。

――おおっ、すごい話ですね。

南部:それはやってみたいと思って、出ることになったんですけど、もう大外れだったんですよね。なんで日本人が、この場所に顔を出すんだよと。もう大ブーイングで、缶から何からいろんなものがステージに飛んできて。でもなんでこんなことが起きるんだろうと思ったら、もうおかしくて、おかしくて(笑)。

ダンナ:いや、あのときはホント、めちゃめちゃ怖かったですよ。黒人たちの本気のブーイングを全身で浴びたというか。俺、ちょっとステージ上であとずさりしましたもん(笑)。

南部:すぐにあきらめたんですよね。「ダメじゃん」って。でも、その帰り道、そこにいたお客さんたちと一緒になったんですけど、そしたら「ヘイ、さっきはブーイングして悪かったな」「これから応援するよ」なんて、気軽に声を掛けてくるわけですよ。だったら、そのときにもっと応援してくれりゃいいじゃないかと思うんですけど、それとこれとは、また話が違うんですよね。アメリカという国では。

――なるほど。その現場では、ブーイングすることが「正しい」というか。

南部:YouTubeだったら、そういう人たちも、まわりの目を気にせず、見てくれるかもしれないと思うんですよね。まあ、今から考えると、いろいろ大変な現場はありましたよ。デンマークの女王様の前で、お尻丸出しで割りばしを折ってみたり。

ダンナ:俺がお尻を出した瞬間、横にいたSPの人に銃を向けられましたから(笑)。

ギュウゾウ:ホント、そういうのを、なぜこれまで映像で撮ってなかったのかっていう話ですよね。

南部:そうそう。いろいろ大変なことをやってきたなと思いますけど、そういうのをちゃんと撮ってなかったっていうのが、いちばんの失敗ですよね。

――なるほど。今は工場で撮影していますけど、今後はいろいろな場所に繰り出して、カメラを回していくかもしれない?

南部:そうですね。多分、そのうち自分たちのネタも尽きると思うので(笑)。あとまあ、今はまだやり始めたばかりなので、ギリギリのところでBANされないように、サイバーエージェントさんと相談しながらやっているんですけど、もうちょっとしたら自分たちも調子こいてくる可能性はあります(笑)。そのときに何をやり出すのかなっていうのは、すごい楽しみですね。

――では最後、今後の活動に向けた抱負などをひと言ずつ。

元気:他のYouTuberの方とかでも、いろいろ過激なことをやったり、人を驚かすようなことをやっている人が、いっぱいいると思うんですけど、自分たちがやるからには、やっぱり負けたくないというか。その「元祖」みたいなところではあると思うので、それをちゃんと伝えていきたいなって思います。

ランディー:やっぱり、電撃ネットワークの存在を、今の若い人たちにも、ちゃんと伝えていきたいというか、それをちゃんと継承していきたいですよね。見ないほうがいいとか言われても、どうしても見たくなるもの……見るなと言われたら、言われるほど見たくなるようなものを見せていきたいです。

南部:さっきも言ったように、「これをやったら驚くだろうな」というだけの発想でやったら、すぐにネタは尽きると思うんです。というか、もともと電撃ネットワーク自体、基本的には大道芸であり、見世物小屋だと思うんです。むしろ、そう思ってもらったほうが、世界中の人が見やすいかもしれないですよね。俺たちは、まともな人ですっていう場所にはいないというか、まともな人ではないので。そういう意味で、ランディーなんかは広告塔にちょうどいいなと思いますけど。

ダンナ:まあ、ランディーと南部さんは、間違いなくまともな人には見られないと思うけど(笑)。

ランディー:そう、電撃ネットワークに入ることになったって自分のまわりの人たちに言ったとき、「ああ、っぽいよね」って、すごい納得されて。それが自分的には、すごいうれしかったんですよね(笑)。

――(笑)。一応テロップで、「超特殊な訓練を積んだパフォーマンスなので、絶対に真似しないでください!」みたいなことは出てきますけど、そもそも真似するとかしないとか、そういうものではないというか、そもそもの前提として、まともな人たちではないという(笑)。

南部:そういうことです。

ギュウゾウ:なので、やっぱり危ないものは、期待してもらって大丈夫だと思います(笑)。まあ、やっとライブができるような状況になりつつあるから、YouTubeで知った人たちがライブにきてくれるようになったらいいなというか、それがいちばんの理想ですよね。やっぱり、お客さんの反応があったりすると、自分たちの芸の感じも、ずいぶん変わってきますから。お客さんの前でやるのは、やっぱり楽しいですし(笑)。

ダンナ:まあ、我々にコンプライアンスはないので、このまま攻め続けようというか、「垢BAN」するまで攻め続けようかなと。そこでぬるいことをやっても、うちらにしたら何の意味もないので。

ギュウゾウ:そうそう。だからホント、いつBANされてもおかしくないと思うので、早目に見てください。

ダンナ:そうだね。もうアップされた瞬間に見ていただかないと、いつバサッて切られるかわからない(笑)。

リチャード:なので、できれば通知をオンにして、見ていただけたらなとって思います(笑)。

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