「月額0円」povoと楽天モバイル、結局どっちが得?

povoと楽天モバイルは結局どっちが得?

使用量別の料金比較

 0円維持にこだわらず、現実的な運用を考えた場合の料金を比較してみよう。

 まず前提として、1GB/月未満の小容量の利用なら0円の楽天モバイルを選ぶだろう。実際にはもう少し範囲を広げて、月3GBまでなら楽天モバイルが有利と考えられる。

 3GB/月の場合の料金は楽天モバイルが1078円、povo2.0が990円と、一見povo2.0の方が安いように見えるが、あえて小容量なら楽天モバイルとした理由はデータトッピングの仕様にある。

 povo2.0のデータトッピングは容量によって有効期間が異なり、通信量の少ないユーザの場合は余らせて無駄にしてしまうリスクがあるのだ。最小の1GBトッピングは7日間有効、3GBトッピングは30日間有効と、大容量のトッピングほど有効期間が長い。もっとも、1~3GB/月程度の利用であれば先述の「#ギガ活」で稼いでタダにしてしまうことも容易なので、それを前提にpovo2.0を選んでも良いだろう。

 次に毎月20GB程度を使うユーザを想定すると、楽天モバイルは20GB以上なら3278円、povo2.0の「データ追加20GB(30日間)」なら2700円で、データ通信のみならpovo2.0の方が安い。また、数カ月分の料金を前払いすることを厭わないのであれば、60GB(120日間、6490円)や150GB(180日間、1万2980円)という大容量トッピングの買い溜めで1GBあたりの単価をさらに抑えられる。

 20GB想定の話に戻ると、楽天モバイルには無料通話の「Rakuten Link」があり、povo2.0の通話トッピング「5分以内かけ放題」(550円/月)や「通話かけ放題」(1650円/月)を考慮すると金額が逆転する。データ通信も通話もたくさんする人なら楽天モバイルの方が安価になる。

 月間20GBを超えるヘビーユーザの場合は、20GBを超えても3278円で料金据え置きかつ月間データ容量の制限もないRakuten UN-LIMIT VIの方が安い。この点に関しては、単一の料金プランですべての層をカバーしている楽天モバイルと、メインブランド(au)との棲み分けもあり大容量ユーザに向けたブランドではないpovo2.0の方向性の違いが現れている。

 なお、楽天モバイルの月間データ容量は「無制限」と記載されてはいるが、具体的な制限値は非公表ながら、短期間(3日間)に大量の通信を行った場合の制限が存在するため、毎月数百GBでも利用できる回線として固定回線代わりに考えるのは危険だ。また、楽天の自社基地局がなくauの通信網を借りる「パートナーエリア」での通信については5GB/月を超過すると速度制限がかかる。

 毎月同じぐらいのデータ容量を使うユーザを想定すると、多くのケースで楽天モバイルの方が安いという結果になったが、povo2.0の真価が発揮されるのは使い方の変化が大きいユーザの場合だ。

 「固定回線が不調で、やむを得ずスマホのテザリングでテレワークをした」「引っ越し先で1週間だけ回線がない」――そんな場合を想定すると、トッピングという独特のシステムゆえの柔軟性の高さがプラスに働く。

 また、povo2.0はauと同等のサービスエリアで利用でき、楽天モバイルはまだMNOとしてのサービス開始から月日が浅いため、エリア展開の差は大きい。単にデータ容量と料金から導かれるコストパフォーマンスだけで検討するのではなく、前提として自宅や職場、通勤経路などよく使う場所のエリアマップを判断材料としてチェックしておいた方が良いだろう。

どんな人に向いている?

 povo2.0と楽天モバイルの「0円対決」という形で比較を行ってきたが、同じ月額0円から使える料金プランでも異なる強みを持っていることがご理解いただけただろうか。

 楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT VI)の無料範囲は新キャリアのお試し版という意味合いが強く、1GB/月までなら無料で使える上に音声通話も無料と、1日の大半をWi-Fi環境のある自宅や職場で過ごす人なら「0円スマホ」も夢ではない仕様だ。

 3GB、20GBとお金を払って使う場合を考えても、競争力の高い料金設定となっている。エリアなどほかの部分で納得が行くのであれば、こと料金プランに関してはライトユーザにもヘビーユーザにも魅力的な内容だ。

 povo2.0は、ユニークなトッピングシステムが長所であり短所でもある。日本の携帯市場はポストペイ式が大半ということもあり、プリペイド式に近いpovo2.0に「チャージが面倒」という感想を抱くユーザも少なくないだろう。

 トッピングシステムが活きる場面こそpovo2.0がハマる使い方で、普段は小容量あるいはまったく使わず0円で維持しながら、いざという時にアプリ操作だけでいつでもすぐに大容量の高速通信ができるという点に大きな価値がある。

 「この日だけ外でパソコンを使うためにテザリングしたい」「好きなアーティストのオンラインライブをどうしても観たいけど帰宅が間に合わない」などといった場面で1日だけデータ無制限にできるのは便利だ。

 ほかにも、トッピングした分以上には使えないことを逆手に取って、思わぬ高額請求が起きにくく安心な子ども用として使ったり、普段使っているキャリアが使えない山奥や通信障害時のために保険として0円で持っておいたりと、アイデア次第で便利に活用できる。

(画像=KDDIより)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる