「月額0円」povoと楽天モバイル、結局どっちが得?

povoと楽天モバイルは結局どっちが得?

 2021年9月、KDDIのスマートフォン新サービス「povo2.0」が提供開始された。基本料金は0円で、データ容量や通話オプションなどを必要な時に必要な分だけ「トッピング」して使うという仕組みに生まれ変わった。

 そして、第4のキャリアとして参入した楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」も、仕組みは異なるが同じく月額0円スタートの料金プランだ。毎月の通信料金を少しでも抑えたい人にとって、「0円から使えるスマホ」という強烈なインパクトを持つ両サービスは有力な候補となり得る。

 同じ0円プランでも、無料範囲で出来ることやその先の料金体系は大きく異なるため、利用スタイルによって選ぶべきサービスは変わってくるだろう。povo2.0とRakuten UN-LIMIT VI、それぞれの特長に触れながら料金やサービス内容を比較する。

povo2.0の特長:必要な時に必要なだけ「トッピング」できる

 KDDIが提供するpovo2.0は、メインブランドの「au」、サブブランドの「UQ mobile」に次ぐ第三の選択肢、オンライン専用ブランドという立ち位置で提供されているサービスだ。

 オンライン専用ブランドとは、専用アプリ上での契約手続きやチャットを主とするサポート体制など、オンライン完結型のサービスとすることで提供コストを下げ、大手キャリアの通信品質はそのままに低価格化されたプランを指す。povo以外のオンライン専用ブランドとしては、NTTドコモの「ahamo(アハモ)」、ソフトバンクの「LINEMO(ラインモ)」がある。

 登場当初のpovo(後にpovo1.0と呼称)は20GB/月のシンプルなプランだったが、povo2.0へのリニューアルによって、一般的なスマートフォンの料金プランとは大きく異なるものになった。

 povo2.0には基本料金がなく、極端な話をすれば1ヶ月間スマートフォンをまったく使わずに放置していたらその月の料金は0円となる。必要な時に必要な分だけ、データ容量や通話のかけ放題オプションなどを購入して利用するというのがpovo2.0の基本システムで、これを「トッピング」と呼んでいる。

 povo2.0のシステムはプリペイド携帯の現代版とも言え、使いすぎない、後から高額請求が発生しないという安心感がある。また、一時的に容量を気にせず使える「データ使い放題(24時間)」(330円/月:税込、以下同)に代表されるように、オンライン完結のプランであることを活かした柔軟性の高さも特長となる。

楽天モバイルの特長:1GBまでなら使ってもタダ

 楽天モバイルは、2019年10月に一部地域でプレサービスを開始し、2020年4月から正式に全国展開をスタートした第4のキャリアだ。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社を追う新規参入者の立場で、攻めた料金プランを提供している。

 サービス開始から数回の変更を経て、2021年11月時点での最新プランは「Rakuten UN-LIMIT VI」となっている。なお、楽天モバイルでは新プランが登場した際は既存契約者も自動的に移行させる措置を取っているため、原則として全契約者が最新プランの利用者となる。

 前身となる「Rakuten UN-LIMIT V」からの最大の変更点は、完全定額制から段階制プランに変わり、条件を満たせば0円維持が可能になったことだ。0~1GB、1~3GB、3~20GB、20GB~の4段階定額で、通信量に応じて各月の料金が自動的に決定する。

 補足すると、楽天モバイルは申込者が300万人に達するまでは1年無料というキャンペーンを過去に実施しており(※現在は終了)、1年間の無料期間を終えたユーザの離脱を防ぐための新プランという見方ができる。

 使わなければ0円という点はpovo2.0と同様だが、Rakuten UN-LIMIT VIは1GB以内ならデータ通信も無料で行える。さらに音声通話に関しても「Rakuten Link」という無料通話サービスが用意されている。

0円で出来ることを比較

 同じ0円スタートのプランでも、povo2.0とRakuten UN-LIMIT VIでは「0円で出来ること」に差がある。

 povo2.0はあくまで使う時はトッピングを購入することが前提となっていて、トッピング無しの0円の状態では、通話やSMSの待ち受けと低速データ通信しか利用出来ない。完全にデータ通信を止めてしまうとWi-Fi環境がなければそもそもトッピングが出来なくなってしまうため最低限のデータ通信は残していると推察されるが、その状態で常用することを想定してはいない待機状態と言える。

 一方、Rakuten UN-LIMIT VIは1GB/月までの通信量に収まってさえいれば、無料範囲でも機能の制約はない。「Rakuten Link」の無料通話と組み合わせて、使用頻度によっては月額0円でスマートフォンを使うことも十分に考えられる。このあたりは、過去の1年間無料体験と同様に、「まずは0円でも良いから実際に使って試して欲しい」というサービスエリアなどの弱点を抱える後発キャリア特有の事情が背景にあるだろう。

 なお、povo2.0には「#ギガ活」というプログラムがあり、対象店舗での「au PAY」利用などの条件を満たせば無料でデータ容量をもらうこともできる。開始時点ではコンビニエンスストア大手のローソン、牛丼チェーンのすき家などが対象となっており、工夫次第で料金を抑えられる。

 通信サービス単体での収益を求めるよりも、通信を基盤とした決済サービスなどの他事業とのシナジーを狙うビジネスモデルは通信業界のトレンドでもあり、「#ギガ活」の取り組みが今後も強化されていく可能性は高い。現在展開されているような買い物でギガがもらえるパターン以外にも「#ギガ活でさがす」「#ギガ活であたる」という別パターンが予告されており、今後に期待だ。

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