YouTubeが日本に与える経済的、文化的、社会的影響とは? パリーグTVやポニーキャニオンの事例も

UGCでもマネタイズ SVODとAVODの拡大傾向で海外にも

 最後はポニーキャニオンの今井一成(執行役員/マーケティングクリエイティブ本部・本部長)による事例。

 アーティストの育成やヒット曲の制作繰り返す中で映像を使ったプロモーションは、レコードやCDの全盛期においても非常に大きかった。色んな歌番組などテレビメディアで成長してきていたが、スマホで音楽を楽しむ時代になってからは、YouTubeとの関わり方が非常に大きくなっているとのこと。

 YouTubeと音楽業界の関係性はスタート時は必ずしもいいものではなかった。「TUBEFIRE」というYouTube上の音源を無料でダウンロードすることができるサイトの存在が悩ましく、レコード会社が集まって訴訟を起こす事例も過去にわ存在も。2014年に和解はしたものの、2014年から2018年の間は、MVを見せすぎるとCDが売れない、ダウンロードやストリーミングの数が伸びないなど、ネガティブな期間だったことを明かす。

 しかし、2018年に日本でも、海外では先行していたYouTube MusicやYouTube Premiumといった有料サービスが発表された。これによりレコード会社の視点として、YouTubeがプロモーションのメディアから、マネタイズもできるメディアに移り変わっていった。

 YouTubeは、アルバムの収録曲でMVがないものでも、アートトラックビデオというジャケット写真を載せるサービスも提供。UGC(ユーザー生成コンテンツ)では「踊ってみた」など、ユーザーが独自に制作した映像でもマネタイズできるようになっている。

 YouTubeではAVOD(広告配信)が従来の形だったところ、SVOD(サブスク配信)で収益を確保できるようになった。それにより、例えばOfficial髭男dismは最大限にYouTubeを活用しており、松原みきはデータトラッキングからYouTubeでの動きを加速させた。またチェッカーズはカタログをアートトラックで公開するなどアーティスト単位でYouTubeの機能を最大限に活用した事例が増えている。

 これまで収益はAVODに偏っていたが、YouTube Premiumの好調により全体的に伸長している。無料で見せる媒体だったものが、2020年、2021年の直近で見てもSVODが伸びている。広告の収益が上がる構造になってきて、収益のインパクトが大きくなった。それからUGCで収益が上がるのが30%程度。SVODとAVODで拡大傾向にあり、YouTubeを使って海外展開に持っていけるところに状況は変化している。

オックスフォード・エコノミクス
https://blog.oxfordeconomics.com/japan
日本版YouTube公式ブログ
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