YouTubeが日本に与える経済的、文化的、社会的影響とは? パリーグTVやポニーキャニオンの事例も
「確信歩き」で確信 球場への集客機能を持ったプラットフォーム
続いてパシフィックリーグマーケティングの園部健二(執行役員)が事例を語った。
パシフィックリーグマーケティングは、2007年にパ・リーグ6球団が共同出資して設立した、パリーグ全体のファンを増やすことを目的とした会社。6球団での取り組みを実施し、個々の球団の企業努力と役割分担のもとでファン数の獲得のため動いている。そうした中で2012年に「パ・リーグTV」という有料配信サービスを運営するなか、新しいファンを増やすためにYouTubeを活用。2014年から片手間でやっていたが、2017年に「確信歩き」という今までやっていなかったコンテンツを出して、初めて100万再生に到達した。
これをきっかけに、もっと企画の切り口やサムネイルやタイトルを深堀りしていけば、視聴数もファンも増えていくことが判明。この「確信歩き」から登録者数も右肩上がりに伸び、今では登録者数が80万人を超えた。ファンの反応もSNSで良く、昨年の夏に株式会社Bitstarが発表したインフルエンサーランキングでは名だたるYouTuberと並んで「パリーグTV」が3位にランクインした。
選手からの反応もよく、千賀(滉大)投手が新しい球種を開発した際に自身のInstagramで「パ・リーグTVで取り上げてほしい」と要望を寄せたり、源田(壮亮)選手がファインプレーした時にベンチから「今のはパ・リーグTV行きだな」とか掛け声があったりなど、「パ・リーグTV」で取り上げることがブランドになるところまでチャンネルが成長した。
あわせてパ・リーグのファン数右肩上がりで伸びており、2020年の独自調査では2600万人のファンを獲得。2019年と比べ130万人の増加を確認しており、これにはYouTubeが大きく寄与していると考えている。収益面でも非常にインパクトが大きく、本格的に始めた2017年、2018年以降から大きく貢献している。
パリーグの来場者と視聴者の属性は、10代から30代が約70%を占めている。まさに新しいファンを獲得するという必要不可欠なプラットフォームになったコロナ禍前は1試合あたり来場者数が27000人で成長していたところ、現在は入場者数制限をつけた上で運営しているので、集客数が一気に低下。喫緊の課題として球場の集客をどうにかしなければというのがあるが、パ・リーグTVのMAU(月間アクティブユーザー)が1000万人まで伸びてきており、来場者の属性と照らし合わせると、来場への潜在ニーズは高いと考えている。
今後はYouTubeやGoogleの機能を使って、視聴者を来場につなげるイベントを積極的に行っていき、々にとってYouTubeは単なる配信プラットフォームではなく、球場への集客機能を持ったマーケティングプラットフォームとして活用できるものだと信じていると締めくくった。