『大乱闘スマッシュブラザーズDX』発売20周年 いまだ根強い人気を誇る理由は?

 2021年11月21日をもって、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』 は発売から20周年を迎えた。

 現行タイトルである『スマブラSP』は先日最終ファイターの追加が発表され、現在でも多くのユーザーに親しまれている一方、いまだに『DX』を最高傑作と評する人も少なくない。

 今回は、多くのプレイヤーにある種の呪いをかけた『スマブラDX』が持つ、その抜け出せない魅力について考えてみたい。

現在の『スマブラ』の礎となったタイトル

 『大乱闘スマッシュブラザーズDX』を初めてプレイした時、前作である初代『スマブラ』からの進化に驚いたことを鮮明に覚えている。

 なかでも、グラフィックの進化には目を見張るものがあった。Nintendo 64で発売された初代ではポリゴンの角が目立ったが、ゲームキューブで発売された本作ではグラフィックが大幅に向上した。いまでこそ少々粗く見えるものの、当時のテレビゲームとしてはかなりハイレベルなグラフィックだったといえるだろう。

 また、キャラクターやステージが多数追加されたことも印象的だった。当時はまだネットから入ってくる情報が少なかったこともあり、隠しキャラとして「ミュウツー」が現れたときには喜びのあまり悲鳴を上げたほどだった。ステージについても、広大ながら立ち位置によって異なる駆け引きが楽しめる「神殿」、時間経過でステージの形状が変化する「ポケモンスタジアム」など、後のタイトルにも登場するステージが追加されている。

 加えて、もはや定番となった「スマッシュホールド」「横必殺技」「空中緊急回避」「上下投げ」などのシステムが追加されたのも『DX』からだ。以降も『スマブラ』は新作をリリースするたびにさまざまな新要素を追加してきたものの、『初代』から『DX』への世代交代ではもっとも進化の幅が大きかったといえる。そういう意味でも、当時のプレイヤーたちに与えたインパクトは大きかったのだろう。

徹底した実力主義を貫いた最後の『スマブラ』

 『大乱闘スマッシュブラザーズDX』がプレイヤーを惹き付けてやまない理由として、「徹底した実力主義」があるのではないだろうか。

 『DX』の特徴のひとつが、シリーズで最速のゲームスピードだ。とりわけ「フォックス」や「シーク」といったスピード型キャラクターの操作感には中毒性があった。2021年時点の最新タイトルである『スマブラSP』は『DX』に次ぐゲームスピードではあるものの、やはり爽快感や駆け引きの緊張感では『DX』に譲る印象だ。スピード感が速ければ速いほど初心者には操作が難しくなってしまうものの、熟練者であれば息もつかせぬ立ち回りが可能だ。

 さらに、『DX』ではキャラクターの挙動を機敏にするテクニックがいくつもあった。たとえば、着地時の隙を減らす「着地キャンセル」は、上級者同士の立ち合いでは必須の技とされていた。もうひとつ印象的だったのは、空中緊急回避の仕様の穴を突いた「絶(絶空)」と呼ばれたテクニックだ。これを使えば、地上を滑りながら攻撃するといった芸当ができるのである。このような技を駆使すれば、通常ではつながらないコンボが成立するなど、プレイにおいて大きなアドバンテージを得られる。

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