日本でもリリース間近の『ピクミン ブルーム』 「日常の共有」で狙う『ポケモンGO』との決別

『ピクミン ブルーム』と『Pokémon GO』はどう違う?
キーワードは「ピクミンとの絆」

 『ピクミン ブルーム』の話題を取り上げるとき、必ず名前の挙がるタイトルがある。Nianticによって開発されたAR・位置情報活用のモバイルアプリ『Pokémon GO』だ。2016年より日本を含む世界各国・地域でサービス開始となった同タイトルは、「『ポケモン』という認知度・人気の高いIPを元にしたタイトルであること」「当時としては珍しいゲーム性を有していたこと」などから大ヒット。世界中で一大ムーブメントを巻き起こした。

 国内では、関連する企業の株価が高騰。世界では、音楽ストリーミングサービス・Spotifyで関連ソングの再生数が大幅に伸びたほか、出先でも不安なくプレイできるよう、モバイルバッテリーを購入する人が増加した。珍しいポケモンが出現するとわかれば、近隣の多くのプレイヤーがそこに押し寄せ、縁のありそうな場所は(実際には関係がなくても)“聖地”としてもてはやされた。乗り物を運転しながらのプレイや違法駐車、私有地への不法侵入などが社会問題となったことも記憶に新しい。登場から5年以上が経過した現在も、一定数がアクティブユーザーとして残る。『Pokémon GO』は、「世界で最もヒットしたモバイルゲーム」のひとつだと言えるだろう。

 『ピクミン ブルーム』は類似する背景・ゲーム性から、この“偉大過ぎる成功例”と比較される機会が多い。「Nianticによる開発」「任天堂発のIP」「AR・位置情報の活用」「『移動』によってゲームが進行する」など、ざっと挙げただけでもこれだけの共通点が存在する。

 その上で、『ピクミン ブルーム』の独自性を考えるならば、それは「ピクミンと日常を共有すること」にこそあるのではないだろうか。「ゲット」と「バトル」がゲーム性の根幹である『ポケモン』シリーズに対し、『ピクミン』シリーズは、ピクミンとの絆の物語である側面がある。『Pokémon GO』には「1種類でも多くのポケモンを集める」「自身が所有するポケモンでほかのプレイヤーと戦う」という大きな目的があるが、『ピクミン ブルーム』にはそれがない。「移動することで、ただひたすらにピクミンを集め、育て、愛でる」これこそが同タイトルの唯一と言ってもいい目的だ。だからこそ特別感のない日常にもフォーカスしやすい。さながらバーチャル空間に存在するペットのような感覚だろう。

 この視点で掘り下げていくと、「ライフログ」でできることにも納得感が出てくる。「日常の共有」の最終到達地点が、日記の作成によるピクミンたちとの思い出づくりなのだ。

 たとえば、愛犬との散歩で起こった出来事・観た風景を、言葉や写真を使い、日記として残していくように、「ピクミン ブルーム」では、ピクミンたちとの日常を同様にモバイル端末上に残していくことができる。コロナ禍でアナログのアウトドアワークのハードルが高まる昨今、デジタル上ですべて完結できる“パートナー”との時間には、一定の需要と価値が認められていくはずだ。

 『ピクミン ブルーム』は、2021年を代表するタイトルとなれるか。その独自性には、大いなる潜在能力が眠っていると言えそうだ。

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