25年前、静かに発売されて埋もれていった「現代を舞台にしたゼルダ」な名作『マーヴェラス ~もうひとつの宝島~』が残したもの

25年前、静かに埋もれた名作『マーヴェラス』

後のゼルダにも影響を与えた、25年前の忘れ去られし名作

 こんな『マーヴェラス』だが、2014年にはWiiUのバーチャルコンソールとして復刻を果たしている。しかし、2021年現在はWiiUの生産が終了。そのため、当時よりもプレイハードルは上がってしまっている。

 Nintendo Switchの「Nintendo Switch Online」会員特典の『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』でも、本作のラインナップ入りは本記事執筆時点で実現していない。しかしながら、WiiUで一度復刻したタイトルが数作ラインナップ入りを実現しているだけに、可能性は決してゼロではないだろう。そう遠くない内の実現を祈りたいところだ。

 今回の記事執筆に当たって、筆者はご祝儀目的に買ったWiiUのバーチャルコンソール版で久しぶりに1周したのだが、いま遊んでも、ゲームシステムに謎解き、ストーリーには唯一無二の魅力があり、素直に名作と言えるアクションアドベンチャーゲームになっている。

 また、25年の月日が流れたいまでは、ゼルダシリーズに影響を与えた作品という資料的な価値も増している。特に複数人のキャラクターを使い分けながら謎を解くスタイルは、マルチプレイモードを導入した『ゼルダの伝説 神々のトライフォース&4つの剣』にて、最もその影響が見られる。とりわけ2004年発売の『ゼルダの伝説 4つの剣+』のメインモード「ハイラルアドベンチャー」の1人プレイでは、4人のリンクを操作し、「フォーメーション」を切り替えながら、行く手を阻む障害物を押したりするといった”とってもマーヴェラスな”展開が楽しめるようになっている。

 さらに2015年にニンテンドー3DSで発売された『ゼルダの伝説 トライフォース3銃士』は、3人のリンクを操作する特徴からしてマーヴェラスそのものである。

 しかも、シングルプレイ実現の背景にマーヴェラスがあったことをゲームメディア「4Gamer.net」掲載のインタビューで青沼氏はコメントしており、改めてその影響と残した功績の大きさを感じさせられる。

 前述の通り、2021年現在は遊べる手段が限られている。

 ゼルダシリーズが好き、アクションアドベンチャーが好きであるのなら、是が非でも遊んでみていただきたい1本である。

 発売当時が無名で、遊んだ人も限られるので怪しいゲームだと警戒するかもしれない。ここまで書いたことが誇張では、と思うかもしれない。

 だが、自信を持って言い切ろう。これは本当に名作だ。いつの日になるか分からないが、Nintendo Switchで遊べる時が訪れたのなら、この埋もれた名作の底力を味わってみていただきたい。願うならば、その時が本作を知るプレイヤーが大きく増えるきっかけにもなれば、当時、体験して惜しい気持ちを抱いた人間としてはこの上ない。

 最後にこの名作に相応しい一言で締め括ろう。

「見たこともない宝「マーヴェラス」は、今もどこかの島で冒険者が来るのを待っている。」

 

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