ゲーム体験の「驚き」を求め続けた歴代メトロイドの「恐怖」と、最新作『メトロイド ドレッド』が見せたその極致

歴代メトロイドに宿る「恐怖」

最上級の傑作探索型アクションゲーム君臨

 実際に今回の『メトロイド ドレッド』は紛うことなき傑作である。

 「恐怖」をクローズアップしてしまったが、アクションゲームとしての完成度も並外れている。とくに操作全般は「プレイヤーの思うがままに動かせる」を文字通り体現した抜群の反応の良さと気持ちよさに秀でている。

 メトロイドというゲームの操作に対し、いまだフワフワとした癖のあるものという認識を持つ人も中にはいるかもしれない。初期の『メトロイド』から『スーパーメトロイド』の3作の印象が強ければ尚更だろう。だが、単刀直入に言い切ろう。そのころの操作性は完全に過去へと帰した。驚くほど俊敏に、それでいて思った通りに動いてくれるので、ゲームスタート間もない頃に没頭したくなるぐらい気持ちよいものになっている。

 良いアクションゲームというのは、動かすだけでも面白いが必須条件になっているが、『メトロイド ドレッド』は完璧にそれを満たしている。少しでも疑問を抱いたのなら、ぜひ思い切って触ってみていただきたいところだ。きっと驚くはずだ。

 また、マップも職人技と言っても過言ではない、細かい気配りと作り込みが際立つものに完成されている。今回も基本、自力で道を切り開いていく探索型らしい展開になるのだが、ビックリするほどどこへ向かえばいいかに気付きやすい。怪しい地形に気付きやすくしていたり、現在地を示すマップに怪しい場所の情報が事細かに記録されるため、自然に目的地を見出せるようになっているのだ。行動範囲を狭めるなりして探しやすくするなど、行き詰まった際の突破の心得を教えてくれる場面が多々用意されているのも特筆すべきところだ。

 ほかにもボス戦で「メレーカウンター」を決められた時のカッコイイ演出とサムスのアクション、シリーズの一区切りとも言える展開と「メトロイド」の意味が強烈に再定義されるストーリーなど、魅力は盛りだくさんだ。

 とは言え、いままでメトロイドを遊んだことのない初心者、アクションゲームが苦手な方には辛い作りなところは否定しない。ストーリーも過去作を前提としている部分があるため、しっかり堪能したいなら、関連作を遊んでおくことが推奨される。中でも『メトロイド フュージョン』と『メトロイド サムスリターンズ』の2作は一部、設定と伏線を継承している関係から、最低限遊んでおいた方がいいだろう。また、エリア間の移動で長めのロードが挟まったり、「オメガキャノン」入手直前に対決する中ボス「セントラルユニット」のダメージ判定演出が分かりにくいなど、もう少し調整してくれれば、と思ってしまった箇所もある。

 しかしながら、それでも言い切ろう。今回のメトロイドは傑作である。

 恐怖を推しだしたことによる中毒性の高いゲームプレイと芸術的なマップ構成、抜群の操作性は圧巻の仕上がりである。アクションゲーム、特に探索型に限らずアクションゲームが好き、メトロイドが好きだったり、興味があるという人がこれをプレイしない選択肢は存在しないと言っても過言ではない。

 怖いだけではない。怖さと嬉しさが交互に襲い来る、非常に癖になる傑作である。生誕35年記念に相応しい、見事な仕上がりになっているので、ぜひとも遊んでみていただきたい限りだ。

 遊ぶにあたっての心構えたる合言葉はただひとつである。

 メトロイド、オモロイド。

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