『Switch有機ELモデル』発売で再燃する転売問題  転売ヤー“爆死”の裏で考えるべき、たった一つのこと

『Switch有機ELモデル』発売で再燃する転売問題

 10月8日、Nintendo Switchの有機ELモデルが発売となった。

 昨今、新たなゲーム機がリリースされるたびに、その使用感以上に話題を集めてきた転売問題。今回の新モデルも例に漏れず、各所で転売と見受けられる商品が現れ始めている。

 しかし、その実情を詳しく見ていくと、近年のゲーム業界で騒動となっていた“転売”とは異なる状況であることがわかってきた。

 本稿では、Nintendo Switch有機ELモデルの発売を入り口に、ゲーム業界で慣例化しつつある転売問題を見つめていく。

ゲーム業界の慣例に。世間を賑わせるハードの転売問題

 ハード転売の歴史は長い。今世紀に入ってからでも、15~20年前に発売されたニンテンドーDS・PlayStation3・Wiiといった人気ゲーム機が、商材として転売業者のターゲットにされ、自身が使用する目的で購入したいと考える消費者の元へ届きにくくなった過去がある。

 それでも最近になり、大きく騒がれる機会が増えたのは、「ネットショッピングを誰もが当たり前に利用できる時代となったこと」「消費者がオークションやフリマアプリ、マーケットプレイスなどを通じて、簡単に販売側の立場を取れるようになったこと」などが背景にあるだろう。上述の人気ゲーム機の時代では多くの場合、発売日の行列に並ぶのが一般的な入手方法だった。消費者との接点もオークションくらいで、それ以前には、「購入できたとしても気軽に販売できる場所がない」というケースが多かったのではないかと想像できる。

 参考までに、キーチェーンゲーム『たまごっち』のブーム時には、実店舗が主な転売場所に、国内で400万本近くを売り上げた人気ゲームタイトル『ドラゴンクエスト3』の発売時には、同作の恐喝事件が社会問題となった。オンラインが人・物との接点となっている現代、そこを温床にハードの転売は慣例化しつつある状況だ。

売り切れ続出のNintendo Switch有機ELモデル。転売の実態は?

 直近では、昨年のNintendo Switch旧モデル・PlayStation5を巡る動向が記憶に新しい、人気ハードの転売。しかしながら、今回発売となったNintendo Switch有機ELモデルでは、大方の予想に反して、取り立てるほど騒動が表面化していない実態がある。

 フリマアプリ・メルカリで、Nintendo Switch有機ELモデルを検索すると、5万円ほどの価格帯から数十台の商品が出品されていた。5万円以下になると、取引が成立し、「SOLD」となっている商品が多く、その分布からは価格競争がおこっている様子もうかがえる。

 私が閲覧したかぎり、新品未開封・完品(※)のなかで最も安かったのは、42,500円の商品。メルカリでは、出品者が送料を負担するケースが多く、販売価格からさらに10%の手数料が引かれることを考慮すると、実質的な売上は38,000円弱になる。

 Nintendo Switch有機ELモデルのメーカー希望小売価格は、37,980円(税込)であるため、この出品価格では、利益がほぼ出ない。5万円で出品されている商品でも、利益は数千円ほど。入手や販売にかかる手間などを考えると、あまり旨味のない商材だと言えるだろう。

 もちろん今後、需給のバランスが変われば、利幅が増えるケースも想定できる。それでも、現時点では、転売業者は“爆死した”と言わざるを得ない状況が続いている。

※付属品がすべて揃った商品のこと

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