はじめしゃちょー×元MLB選手・藤川球児が夢のコラボ トップYouTuberとプロ野球選手が生み出すエンタメとは?

 超フリーダムYouTuberとして人気を博しているはじめしゃちょー。チャンネル登録者数は960万人を超えており、つい最近では3億円の豪邸を購入したことでも大きな話題になった。

 そんな一挙手一投足が注目されるはじめしゃちょーだが、9月12日に公開された動画「【野球】元メジャー投手でもバットがデカけりゃなんとか勝てる説」では、阪神タイガースやMLBで活躍した元プロ野球選手の藤川球児とコラボを果たした。

 動画冒頭では、本格的な野球中継さながらの解説から始まる。2021年夏の甲子園の決勝カード「藤川商業(高知)VS 江田川工業高校(静岡)」という設定のもと、まるでテレビで試合の模様を見ているかのような演出になっている。

 決勝に駒を進めるくらいの両チームゆえ、接戦が繰り広げられているかと思いきや、9回時点で99対0と藤川球児率いる藤川商業が超大差をつけてリードする状況。それもそのはずで、江田川 元(はじめしゃちょー)のチームメンバーの大半は骨折で欠場という事態で、ベンチには3人しかいない。9人プレーが大前提の野球にとって、この状態はまさに悲惨といえるだろう……。

 9回裏、一打逆転を夢見てまず迎え撃つトップバッターは棚澤 龍昇(フラベジメンバー)。しかし、あっという間に2ストライクまで追い込まれ、後がない棚澤。4球目はかろうじてバットにボールを当てたものの、5球目の変化球に泳がされ、ボテボテのサードゴロに倒れる。

 続く2人目のバッターは上村健介(フラベジメンバー)。だが上村もファウルを打った際に、なんとサードへ疾走してしまうという失態をおかしてしまう。野球が初めてどころか、野球のルールすら知らないことが露呈し、藤川球児も苦笑いだった。

 結局4球目は空振り。振り逃げの出塁チャンスもあったが、これまたルールを理解しておらず、あえなくタッチアウトに終わる。

 何も結果を残せずに、このまま江田川工業の夏は終わってしまうのか。満を持して江田川監督自らがバッターボックスへと向かう。

 ここで最後の切り札となる規格外のドデカいバットが登場。「藤川さん! オレと勝負してくれませんか。これなら僕、藤川さんに勝てると思うんです」9回裏2アウトという土壇場の状況で、江田川が藤川球児に挑戦状を叩きつけた。

 それに応えるように藤川球児も「そのバットなら対戦してみたくなった。いきましょう! 絶対打たせないです」と受けて立った。

 江田川が持つ秘策のバットと、球界を沸かせた名投手の投げる火の玉ストレート。まさにクライマックスと呼ぶにふさわしい対戦となった。

 藤川球児の初球は、時速998kmという超豪速球を繰り出した。さすがにこの速さでは規格外のバットでも当てることはできず、江田川は空振りを取られる。むしろ、あまりの重さにバットを持つ江田川も一苦労な様子を見せていた。

 さらに2球目も時速935kmの火の玉ストレートが炸裂し、バットは空を切った。追い込まれた江田川だが、藤川球児の投じた3球目の870kmのストレートをかろうじてバットに当てて、ファウルチップに。

 そして、勝負の4球目。江田川は最初バントの構えを見せ、藤川球児が振りかぶって投げる瞬間にヒッティングに切り替えるバスターで挑んだ。

 その結果は……、ピッチャー前のボテボテゴロでスリーアウト。健闘むなしくゲームセットとなり、スコアは99対0で藤川商業ダントツの圧勝で幕を閉じた――。

 実際のところ、動画のような野球の試合はまずあり得ないことだろう。しかし、99点差のゲーム、選手が3人しかいないチーム、打ったらサードへ走る、時速900km以上のストレートなど、挙げればきりがないそのありえない試合展開にがツッコミを入れたくなり、思わず動画を見続けてしまう。

 もちろん野球初心者のはじめしゃちょーと、元プロ野球選手のアスリートである藤川球児がガチンコバトルしたところで、どちらに軍配が上がるかは推して知るべしと言えるだろう。そういった固定観念をうまく利用し、いかにエンターテインメント性を持たせ、YouTubeを観る視聴者を楽しませるか、現実離れした企画を作れるかが、見事に描写されていた。

 視聴者を惹きつけ、魅了する「プロの動画クリエイター」と、ひとつのスポーツを極め、第一線で活躍してきた「プロスポーツ選手」のコラボ。双方の極めてきたプロとしての流儀が組み合わさることで、ともすると想像を超えるクリエイションが生み出されるのではと思う。

 スポーツによってルールの違いや試合の見どころ、駆け引きの仕方は異なるわけで、その可能性は無限大に広がることだろう。今回の動画も、単に野球中継を模した形であれば想像がつくかもしれない。そこを、随所に突っ込みたくようなエンタメ要素を入れ、さらにはプロアスリートとの掛け合いを描写することで、盛り上がりの起伏を作っている。

 はじめしゃちょーがさまざまなプロアスリートとコラボするなかで、既定路線ではない「外し」にも注目したいところだ。これからも、はじめしゃちょーがアップする動画に期待を寄せたい。

 また、藤川が活躍したMLBは現在、シーズン終盤に突入。エンゼルス・大谷翔平など日本人選手が目まぐるしい活躍を見せ、快挙達成に注目が集まっており、その様子は10月4日の最終戦までABEMAの生中継にて観戦できる。ABEMAの生中継では、10月2日と3日の土日は西岡剛氏や五十嵐亮太氏元メジャーリーガーたちの解説を交えながら試合を楽しむことができるため、あまり野球に触れたことがない人でもこれを期に観戦してみるのはいかがだろうか。なお、ABEMAでは10月6日よりMLBポストシーズンの公式試合を全試合生中継することも決定している。

■ABEMA『メジャーリーグベースボール公式試合生中継』 概要
▼スポーツ生中継ラインナップ
https://contents-abema.com/sports-live/
<元メジャーリーガーによる解説スケジュール>
10月2日(土)午前11時開始 ロサンゼルス・エンゼルスvsシアトル・マリナーズ(解説:西岡剛)
10月3日(日)午前10時開始 ロサンゼルス・エンゼルスvsシアトル・マリナーズ(解説:五十嵐亮太)
※中継時間やカードは変更となる可能性あり

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