中国で開発された、コロナから健康を守り癒やしも与える「神防護服」が話題に

 今年の夏も、昨年同様新型コロナに翻弄された夏だった。30度を超える暑さでも、プールにも海水浴にも山にキャンプにも行けず、エアコンがついた部屋で悶々とした日々を余儀なくされた。開催については今尚是非を巡る議論が絶えないが、単純に「今年の夏の楽しみ」という点だけを考えれば、五輪とパラリンピックは「あってよかった」と言えるかもしれない。

 そして、夏のコロナ対策で何より辛いのは、炎天下の中でもマスクをしなければいけないこと。今にも窒息しそうな息苦しさだが、感染を防ぐためとなれば致し方ない。新型コロナと戦う医療従事者、PCR検査やワクチン接種の会場設営や運営に携わるスタッフは、暑さの中でマスクや防護服を着用して懸命に任務にあたっている。その姿には敬意と感謝を禁じえないと同時に、暑さや過労で倒れてしまうのではないかと心配にもなる。

 お隣の中国では、感染を徹底的に封じ込めるべく各地で大規模なPCR検査が続けられており、屋外にテントを張って即席の会場を作って実施するケースも少なくない。会場では全身を防護服で覆ったスタッフが手続きや案内を行っているのだが、炎天下での作業はサウナを身にまとっているようなもので、まさに「過酷」の一言だろう。

 そんな医療従事者の過酷な環境を少しでも改善すべく、各地で新しい防護服が導入されたのだが、見た目がとてもユニークだと話題になっている。湖北省武漢市では8月6日、宇宙服のようなモコモコの白い防護服を着たスタッフがお目見えし、作業にあたった。そのまま月面探索に行けるのではないかというような格好の新しい防護服の腰の部分にはダクトが取り付けられており、後部にある送風機と繋がっている。そこから送り込まれた空気が防護服の中を通り、防護服がモッコモコに膨らむのである。

 送り込まれる空気によって防護服内の温度は26〜29℃に保たれ、体温の上昇を防ぐことができるほか、汗が乾きやすくなるので、衣服が身体にまとわりつく不快感を避けることもできる。また、最大の懸念事項である呼吸についても、そして呼吸用のチューブが備え付けられているので息苦しさも軽減される。見た目はちょっとユーモラスだが、夏の暑い時期のPCR検査スタッフにとってはまさに「神装備」なのだ。

 日本ではここ数年、ジャケットにファンを内蔵して空気を送り内部の温度を下げる「ファン付きウェア」が人気を集め、真夏の作業現場では作業服がモコモコしている人をよく見かけるようになったが、中国の「神防護服」はその「ファン付きウェア」の強化バージョンと言えそうだ。実際に着用したスタッフからは「服の中に空気が通って快適になった。辛さがかなり軽減された」といった喜びの声が聞かれた。

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