乃木坂46 × テクノロジーは日本美術の新たな解釈を生む? 『春夏秋冬/フォーシーズンズ 乃木坂46』先行レポート

乃木坂46×テクノロジーが生む日本美術の新解釈

 乃木坂46の映像と日本美術の古典を融合した展覧会『春夏秋冬/フォーシーズンズ 乃木坂46』が、9月4日から東京国立博物館 表慶館で開催される。

会場内の様子(一部)はこちら

 本展は、春夏秋冬の花が表現された7点の日本美術と乃木坂46を重ね合わせて紹介する実験的な展覧会。メンバー一人ひとりを花に見立てた映像インスタレーションによって、日本の人々が花に託した造形の本質が彼女たちのパフォーマンスで示されていく。

 噛み砕いて説明すると「乃木坂46×日本美術」。そこに映像作家や季節、花など様々な要素が加わり、『春夏秋冬/フォーシーズンズ 乃木坂46』という展覧会を形成している。筆者が展覧会を観て感じたのは、視点を変えることで様々な楽しみ方が出来る展覧会だということだ。

 ここで注目したいのは、映像インスタレーション、つまりは「乃木坂46×日本美術」を表現しようとする空間の見せ方だ。吹き抜けのエントランスを入り、右に曲がると視界に飛び込んでくるのはまるで展示へと手招きする齋藤飛鳥の姿。だが、そのスリットカーテン越しに映る齋藤の奥には、先ほどのエントランスで美しく舞うもう一人の齋藤がいる。奥に進むことでスリットカーテン越しにスクリーンの映像がレイヤー状に重なって見えるその立体的構造が理解できる。さらにスクリーン越しにライトアップされた「花下遊楽図屏風/狩野長信筆」が見えてくる。屛風に描かれた「桜」と映像テーマにある「春」の調和。最先端ディスプレイを使用した映像表現と江戸時代に描かれた古典は一見ミスマッチにも思えるが、屛風の遠近感が不思議な世界観を生み出す。また、メディア・関係者内覧会として開かれた9月2日は生憎の雨模様ということもあってか、窓のカーテンは閉められていたが、日中の晴れの日には射し込む光によって、また柔らかく温かな空間へと変貌を遂げるのだろう。そういった意味でも11月28日までの期間中、または時間帯で来るたびに違った顔を見せてくれる展覧会とも言えそうだ。

 

 視覚表現として最もユニークな展示方法だったのは、パフォーマーとして星野みなみ、与田祐希が登場する「四季花鳥図屛風/伝雪舟等楊」との展示。屛風に描かれている四季の風景を星野と与田が12台の特殊ディスプレイで表現していく。モニターにはソニー製の裸眼で3D視できる特殊なディスプレイ「ELF-SR1」が使用されており、あたかも目の前に実物があるかのような立体的な空間映像が表示され、驚くべき視聴体験ができる。「サヨナラの意味」や「命は美しい」といったシングル表題曲から「やさしさとは」といった季節感溢れる乃木坂46の楽曲の歌詞が浮き出ている奥で、その世界観を2人が表現している。

 生田絵梨花と「秋草図屛風/俵屋宗雪筆」の組み合わせは、左右に伸びる2枚の巨大スクリーンが度肝を抜く。生田のループ性のあるパフォーマンスに、「秋草図屛風」のグラフィックが干渉していく映像は、プログラミングによって計46パターンが自動生成されるという。生田が寝転び、手を差し出しといったパフォーマンス映像の上に、どのように「秋草図屛風」が上乗せされるかはまさに運次第。先述した天候や時間を考慮すれば、無限の組み合わせが楽しめる展示だ。

 

 ラストを飾るのは梅澤美波と「振袖 白縮緬地梅樹衝立鷹模様」による展示。梅澤がディスプレイをまたぎ、一つの連なりのように表示される立体コラージュになったり、分裂してそれぞれのディスプレイに現れたりするだまし絵的な表現だ。この撮影した写真ではなかなか伝わりづらいのが、逆にこの複雑な展示の全体像を表してもいよう。展示をぐるりと一周回ってようやく把握できる立体的な遊び。梅澤美波に「梅」の花を当てたことを含めて、やはりそれはシュールといった表現がぴったりくる。

 展示の終わりには秋元康による「「春夏秋冬/フォーシーズンズ 乃木坂46」展に寄せて」といった文章が添えられている。そこには「今回、花をテーマとした日本美術の世界を乃木坂46がご案内させていただくことによって、新しい世代の“訳”になれば、これほど嬉しいことはありません」といった一文が。『春夏秋冬/フォーシーズンズ 乃木坂46』は、見た人の数だけ解釈/訳が生まれる展覧会だ。



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