加山雄三がAIになってYouTubeデビュー! 名作を後世に残す斬新なプロジェクトがスタート
有名タレントのYouTuberデビューが相次いでいる近年、新たなチャンネルをピックアップするとともに、その方向性や内容を検証する本企画。この1週間は、ベテラン歌手の“分身”による「歌ってみた動画」や、話題の女優、お笑い芸人のディープなチャンネルなどが開設された。
加山雄三「バーチャル若大将」8月22日デビュー
“永遠の若大将”こと俳優・シンガーソングライターの加山雄三が、「バーチャル若大将」となり、“歌ってみた”動画でYouTuberデビューを果たした。「バーチャル若大将」は、8月21日・22日に放送された『24時間テレビ44』(日本テレビ系)の生放送で活動を開始。加山の地元・湘南の、後輩グループである湘南乃風の『純恋歌』をカバーし、ステージを盛り上げた。
今回開設されたYouTubeチャンネルは、歌唱・ナレーション・ビジュアル・リリックビデオのすべてが最新のAIによって生成されている。なぜ加山本人ではなくAIの分身であるかというと、昨年8月、加山は脳内で出血が起きる“小脳出血”を起こし、一命を取り留めたものの、現在でも言葉がうまく話せなくなるなどの後遺症が残っている。
そんな中で、彼の歌声を後世に残すべくこのプロジェクトが始動した。本人の歌声を鮮度のあるまま残すことができる試みは、まさに現代技術の結晶といえるだろう。
チャンネルの概要欄には、加山本人のメッセージで「いやぁ、おもしろいこと始めただろ? 自分が生み出したものが次の世代に繋がっていってくれる、こんな嬉しいことないよな!」と喜びの気持ちが綴られている。
記念すべきカバー曲の1曲目は、加山の新曲の作詞を担当する音楽家・つんく♂がボーカルを務めるシャ乱Qの代表曲「シングルベッド」。加山の包容力ある歌声で、原曲とは違った雰囲気を醸し出している。今後も、「バーチャル若大将」を通して、加山の歌声が世代やジャンルを超えて後世に残されていくだろう。
川津明日香「川津明日香 / Asuka Kawazu」8月22日
8月22日で最終章を迎えた特撮ドラマ『仮面ライダーセイバー』のヒロイン・須藤芽依役を務めた川津明日香のYouTubeチャンネルが、同日に開設された。記念すべき初動画では、どこを見るのか視線が定まらないなど、初々しい様子を見せた。「あんまりしゃべるのが得意じゃないので」と話し、自身のインスタグラムであらかじめファンから集めた、日常についてや仕事についてなどの幅広い質問に答えた。
コメント欄には、ドラマファンからチャンネル開設について喜ぶ声や、これからの活動にエールを送る声にあふれていた。
そのほか、8月21日にはお笑いコンビ・かもめんたるの岩崎う大がさまざまなエンタメ作品をディープに深掘りする個人チャンネル「う大脳」を開設。1本目の企画では、スタジオジブリ作品の『天空の城ラピュタ』を独自の目線で解説している。
YouTubeの特性を生かし名作を後世に残す
今週は、日本を代表する歌手の1人、加山雄三のYouTubeデビューが特に話題となった。AIという最新技術とYouTubeをかけ合わせ、歌声を後世に残すという試みは、世界でもあまり類を見ないだろう。デジタル社会は、一度出た情報が永遠に残り続けるという特性上、ネガティブにとらえられることも多いが、今回はそれを逆手に取った新たな“作品”といえる。今後、名作がYouTubeに残されていく日も近いのかもしれない。