小学5年生のリカちゃんがズボラなOLに!? 「現実を生きるリカちゃん」が女性中心に共感を得ている理由

「現実を生きるリカちゃん」、なぜ共感集める?

 YouTubeやinstagramを中心に活動している『現実を生きるリカちゃん』が、女性中心に共感を得ている。約半年前には4人だったYouTubeアカウントのチャンネル登録者も、いまや40万人目前。同チャンネルはなぜ、SNS上で注目を集めているのだろうか。

 『現実を生きるリカちゃん』とは、1967年にタカラトミーから誕生した小学5年生のリカちゃん人形が、OLとしてストレス社会を懸命に生きている様を表現したアカウントである。現実を生きるリカちゃんのYouTubeチャンネルでは、「このチャンネルはリカちゃん遊びが大好きだった20代後半の女が辛い現実から目を背けるために自分をリカちゃんに投影してYouTuberとして活動していくちょっとヤバめなチャンネルです。」と自身のチャンネルを説明している。なお、リカちゃん人形の販売元であるタカラトミーとは一切関係のないアカウントのようだ。

 『現実を生きるリカちゃん』のYouTubeチャンネルやinstagramを覗いてみると、お酒が好きで冷蔵庫の中は食料ゼロ、洗濯物をつい溜めてしまうほど家事が苦手な性格のようだ。さらに、日々の日課はSNSパトロール、休日は睡眠とUber Eats中心の生活をするインドア気質らしい。現在は独身のようで、恋人のいる生活に憧れているという一面も。そして、現実を生きるリカちゃんの一番の特徴は、ズボラなところだ。在宅勤務時は始業5分前に起床し、眼鏡にボサボサの髪、パジャマにしている高校生時代のクラスTシャツ姿で、何とか仕事に取り掛かる。出社時は、時間ギリギリに起床し、メイクに爆速歯磨き、着替えとドタバタ朝の準備をし、全力ダッシュで仕事場に向かう。時間に追われたズボラな朝の過ごし方は、働く女性以外の人たちにも共感できる点があるのではないだろうか。

[現実を生きるリカちゃんの在宅勤務]

 現実を生きるリカちゃんが注目を浴びている理由は、思わず共感してしまう生活ぶりだけでない。製作者は本当にズボラなのか疑うほど細部までこだわりぬかれた小物。表情が変わらないのにも関わらず、感情が伝わってくるようなリカちゃんの細かな仕草やヘアスタイルにも注目が集まっている。朝、リカちゃんも私たちと同じようにスマートフォンのアラームに起こされるが、二度寝。その後、5分ごとにセットしたアラームが鳴り響き、止めて寝てを繰り返しながら、伸びをし、ベットの上で丸くなりようやく体を起こす。寝ているリカちゃんの表情は見えないが、睡魔と戦いながら必死に起きようとしていることが分かる。

 現実を生きるリカちゃんの影響があったかどうかは定かではないが、タカラトミーは2021年7月27日、『リカちゃん公式チャンネル』というリカちゃん人形の公式チャンネルで動画投稿をスタート。休日のモーニングルーティンも公開している。現実を生きるリカちゃんとは違い、公式チャンネルのリカちゃんは目覚ましより早く起床し、ストレッチをする。そして、歯磨きや食事を優雅に済ませ、9時半にはおでかけに行く。リカちゃんといえば、丁寧な暮らしをしているイメージを持っている人が多いだろう。このようにズボラな性格とは真逆なイメージを持つリカちゃんが、OLになりズボラな生活をしている姿を見れることが、現実を生きるリカちゃんが人気を集めている一つの理由だろう。

 SNSに丁寧な暮らしぶりを投稿したり、そのようなライフスタイルに憧れを持ったりする人も少なくない。なかには、サブアカウントと本アカウントを使い分け、鍵のかかったサブアカウントにのみ、ズボラな一面を載せている人もいるだろう。現実を生きるリカちゃんが女性中心に共感を得ているのは、本来リカちゃんが持っている可愛らしさをそのまま届けるのではなく、多くの人を前に見せるのをためらってしまうズボラな一面や失敗ーーある種のサブアカ、鍵アカのような部分を見せているからではないだろうか。『現実を生きるリカちゃん』の影響で、華やかな人たちのSNSがズボラな投稿や失敗談で溢れる日も、そう遠くはないのかもしれない。

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