35年以上紡がれた「オリンピックとゲームの歴史」 4つのタイトルからその軌跡を振り返る

35年以上にわたる「オリンピックとゲームの歴史」

『マリオ&ソニック』シリーズ(2007年/任天堂・セガ)

 時が進んだ2007年、任天堂とセガはタッグを組んで「マリオ&ソニック」シリーズを発表。第一作目を飾ったのは『マリオ&ソニック AT 北京オリンピック』で、『スーパーマリオ』シリーズと『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズのキャラが一堂に会する、豪華なゲーム内容で話題となった。

 シリーズ作品は計6タイトルにわたり、そのうち5作品が家庭用ゲーム気と携帯ゲーム機の両方で展開。シリーズ累計1000万本を売り上げている(2バージョン合計)。2021年7月時点では、最新作『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック』がNintendo Switch向けに発売中だ。

『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック』プロモーションビデオ

 本シリーズの特徴は、何と言っても”人気IPの共演によるお祭り感”。メーカーの垣根を越え、さらに味方・悪役を問わずオリンピックの競技で正々堂々、スポーツマンシップにのっとって実力を競い合う。

 そして本作はボタン連打に終始せず、Wiiリモコンやタッチペンを用いた直感的な操作方法も魅力の一つ。Wiiリモコンとヌンチャクを交互に振って走る(トラック競技)。タイミングに合わせてヌンチャクを振り上げる(トランポリン)。Wiiリモコンとヌンチャクを弓に見立てて矢を放つ(アーチェリー)。いずれもWii版の操作方法だが、こうした基本アクションはシリーズを通して丁寧に受け継がれている。

 そのほか、「ドリーム競技」なるゲームモードも実装されており、こちらは『マリオパーティー』シリーズのミニゲームを彷彿とさせる内容。こうしたゲーム全体の仕様は第一作目から変わっておらず、”各競技の再現とパーティーゲーム由来の遊びを提案したオリンピックゲーム”と言えるだろう。

『東京2020オリンピック The Official Video Game』(2019年/セガ)

 任天堂と共同で開発した『マリオ&ソニック』シリーズとは別軸で、セガは公式ライセンスゲーム『東京2020オリンピック The Official Video Game』を手掛けている。

 こちらはトラック、水泳、ラグビー、柔道などを含めた合計18種目を収録、キャラクターIPの利点を生かした『マリオ&ソニック』シリーズと比べ、本作はクセのないオーソドックスかつシンプルなゲームデザインを採用。コントロールスティックとボタンを使った操作方法を取り入れ、実際の会場(新国立競技場・東京アクアティックスセンター等)をゲーム内で細かく造形し、”オリンピックのゲーム内再現”に力を入れている。

『東京2020オリンピック The Official Video Game』プロモーションビデオ

 特筆すべきは「アバター」作成モード。性別と体格に始まり、肌の色、身長、筋肉量、目の大きさ、顔の輪郭……等々、顔まわりに絞っても15項目をプレイヤーが自在にカスタマイズできる。さらに、作成したアバターは「パワー」・「スピード」・「テクニック」とステータスの異なる能力タイプを設定可能。手の混んだクリエイトができるだけでなく、”自慢のアバターを全世界のユーザーへ共有する”といった楽しみ方も用意されている。ゲームシステムはシンプルながらも、アバターを使ったお遊び要素があり、その使い方はプレイヤー自身の手に委ねられている……というわけだ。

 ビデオゲーム市場の勃興期に産声を上げ、35年以上にわたって歴史を紡いできたオリンピックゲーム。今年はご時勢の問題で現地観戦は難しいが、自宅のテレビで選手の活躍を応援しつつ、オリンピックゲームのプレイ経験に思いを馳せてみるのも良いのではないだろうか。

(トップ画像=http://www.hamster.co.jp/arcadearchives/TrackAndField.htmより)

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