ライカ製スマホがSHARPに与える影響とは? 新たな課題は「デザイン」か
SHARP製スマホの最新作「AQUOS R6」は、ドイツの老舗カメラブランド・ライカとの協業により大きな話題になった。複眼化が一般的になったスマホカメラに、あえて単眼レンズを搭載した意欲作といえる。
そして熱が冷め切らないうちに登場したのが、「AQUOS R6」をベースに作られた、ライカ全面監修の「Leitz Phone 1(ライツフォン ワン)」だ。
今回は「AQUOS R6」や「Leitz Phone 1」を中心に、SHARP製スマホの歩み、そして新たに生まれた課題について考えていきたいと思う。
成熟したRシリーズ最新作
「AQUOS R6」は、ソフトバンク、ドコモから発売されたSHARP製スマホの最新作だ。カラーは、ブラックとホワイトの2色展開。全体的に光沢感のあるラグジュアリーなデザインに仕上がっている。
本作の主な特長は「ライカ製レンズ」と「高精細ディスプレイ」だ。
スマホとしては最大級の1インチセンサーを搭載。ライカと共同開発したセンサーやレンズなどによって、暗所にも強い写真が撮影可能になった。7枚のレンズが重なる「ズミクロン」は、日常のあらゆる瞬間を切り取ってくれる。
ディスプレイには、世界初の1Hz〜240Hzで駆動する「Pro IGZO OLED」を搭載。約6.6インチの大画面ながら、省エネ設計でなめらかな映像美が体験できる。またエッジディスプレイを採用し、手にフィットする形を実現した。
CPUはSnapdragon888 5G、RAMは12GB、ROMは128GB。防水はIPX5・IPX8、防塵はIP6Xに対応。NFC搭載でおサイフケータイも利用可能だ。世界最大サイズの指紋センサー「3D Sonic Max」や、大容量「5,000mAh」のバッテリーなども搭載している。
ライカ全面監修モデルの登場
「Leitz Phone 1」は、ソフトバンクが2021年6月17日に独占発売を発表したスマホだ。「AQUOS R6」をベースに作られており、同年7月以降の発売を予定している。
本作の主な特長は「ライカ監修のデザイン」と「独自のアクセサリー」だ。
デザインはライカが全面監修し、カラーは「ライカシルバー」の1色のみ。全体的にマットな質感で、ライカらしいデザインに仕上がっている。
前面は、「AQUOS R6」と同じディスプレイを使用。側面のアルミフレームには、ギザギザとした模様が入っており、デザイン性はもちろん、滑り止めとしての機能も持つ。
背面には、強化ガラスを使ったマットブラックカラーを採用。上部には、「AQUOS R6」とは違った円形のカメラ、右上にはライカのロゴが刻まれている。
下部には、ライカ製であることがわかる一文が書かれている。背面にスマホやキャリアの名称が書かれた機種が多い中、あくまでひっそりと佇んでいる姿は好印象だ。
さらに付属品として「専用シリコンケース」と「レンズキャップ」が付いてくる。オールブラックでよりクールな見た目にしたいなら、専用シリコンケースが役に立つだろう。またマグネット式のレンズキャップは、スマホカメラの出っ張りが気になるユーザーに対する、新しいアプローチのように感じられた。
主な違いはデザイン・スペック・価格
「AQUOS R6」は光沢感があり、指紋が目立ちやすいデザイン。一方、「Leitz Phone 1」はマットな質感で、指紋が目立ちにくいデザインを採用している。また、カメラモジュールやカラー、加工などの違いはあるが、基本的な要素の配置は同じだ。
スペックは、前者がROM128GB、重さが約207gに対して、後者はROM256GB、重さが約212gと少し異なる。
「AQUOS R6」の価格は、ソフトバンクで13万3,920円、ドコモで11万5,632円。「Leitz Phone 1」は、ソフトバンク専売で18万7,920円だ。
他にも「Leitz Phone 1」には、モノクロ写真が撮影できる「Leitz Looks」を中心に、独自のシャッター音やUIなどが搭載されている。加えて、オリジナル壁紙やウィジェット、起動画面なども用意されている充実ぶりだ。
協業により弱点を克服したSHARP
近年、国内スマホ市場におけるSHARPの存在感は頼もしい限りだ。SHARPの顔となるRシリーズ、エンタメに特化したzeroシリーズ、万人に使いやすいsenseシリーズ。あらゆる層をターゲットにしたラインアップにより、徐々にユーザー層を広げてきた。
SHARPが好調になった背景には、2016年に行われた鴻海(ホンハイ)による買収があるだろう。SHARPが鴻海の傘下に入って以来、既存のラインアップに変化が生まれたのは確かだ。
SHARPの独自性と、鴻海の生産力や技術力。これらが噛み合ったことで、ラインアップに安定感が生まれた。
そしてライカとの協業は、唯一の弱点といわれたカメラ性能を埋める最後のピースとなる。ディスプレイ以外での差別化が難しかったRシリーズにとって、ライカ製レンズは大きな武器を手にした格好だ。
しかし、弱点を克服した矢先に、新たな課題も浮上してきた。