バンド&えなこ&BlackAIも登場 キズナアイがバースデーライブで見せた“VTuberの先駆者”ならではの魅力
最後はこれまでを振り返りながら、「初めてのことって全部覚えているし、今でも初めてのことでいっぱい」「ファンのみんなが増えたからこそできる初めてのことが増えた」とファンへの感謝を伝え、バンドメンバーやダンサーたちとともにデビュー曲のリミックス「Hello, Morning (Pa’s Lam System Remix)」で大団円。この日一番の一体感でライブを終えた。
今回のライブを観て感じたのは、Kizuna AIの活動において初期からずっと大切にされてきた、「世界中のみんなと繋がりたい」という思いの強さだろう。Kizuna AIの活動を追っていると、世界中のすべての人々と、分け隔てなく、同じ目線で手を取って進んでいきたいという意思を感じる瞬間が多くある。そうした気持ちは、今年に入ってからのライブでの次元の超え方にも顕著に表れている雰囲気で、彼女の中で「バーチャル空間に人々を招待する」ことと「現実世界に自らが向かう」ことは、等しく大切なこととして考えられている印象がある。5回目の誕生日に際して新鮮な要素で魅せるだけでなく、ライブを通してどこか博愛主義的な器の大きさや温かさが感じられるこの雰囲気こそが「Kizuna AIらしさ」であり、様々なタレントが活躍して徐々に成熟しつつあるVTuber界を黎明期から引っ張ってきた先駆者ならではの魅力なんじゃないかと、改めて感じさせてくれるようなライブだった。
■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。