Spotify、女性音声クリエイター育成強化 ポッドキャスト番組支援プログラム「Sound Up」発表

Spotifyが「Sound Up」発表

 世界中で3憶5600万人以上が利用しているオーディオストリーミングサービス「Spotify」。このサービスを日本国内で展開するスポティファイジャパンが6月29日、ポッドキャスト番組の企画・制作・配信に関するトレーニングやサポートを行うプログラム「Sound Up」を発表した。

 次世代のクリエイターを育成し、国内音声コンテンツの多様化と市場の活性化に取り組む狙いがあり、専用サイトで参加希望者の募集も始めた。本稿は同日、オンラインで行われた発表会見から一部を記す。

声を通して自分らしさの追求実現

 会見ではスポティファイジャパン株式会社音声コンテンツ事業統括、西ちえこ氏がプログラムの概要について下記のように説明した。

 Sound Upは「音声を媒介として新しい視点や発想、ストーリーを世界に届けたいが、どうやって一歩を踏み出したらよいかわからない」というクリエイターを応援。Spotifyが世界各国で培ってきたノウハウをもとに、教育プログラムやワークショップ、サポートを継続的に提供することで、1人でも多くのクリエイターが活躍を始めるきっかけを創出する。

 Sound Upを展開して今年で4年目となるアメリカ、イギリス、3年目となるドイツ、2年目のスウェーデン、ブラジル、オーストラリアでは各国の抱える課題をもとに参加してもらうクリエイターを絞り、プログラムを提供してきた。参加者が企画・制作した作品の中にはさまざまな賞を受けるなど高い評価を得て、人気番組になった例もある。

 2021年は日本をはじめインド、アルゼンチン、メキシコ、イタリアなどでの展開を予定している。世界中で140人以上のクリエイターが参加する見込みだ。

 今回日本で行われるSound Upは、女性にスポットライトを当て参加者を募ることにした。スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」が今年発表したジェンダーギャップ指数(男女不平等の度合いを指数化したもので、順位が低いほど男女格差が大きいと評価される)で120位となった日本は、ジェンダー格差が社会的な課題として認識されている。世界的にジェンダー平等が取り上げられる風潮になっても、日本では伝統的な価値観や女性を取り巻く環境の複雑さから、女性が日々の生活の中で生きづらさを感じることは多いのではないか。Sound Upを提供することで、自分らしく生きたい女性を後押しすることになると考えている。一方、生きづらさを感じるのは女性ばかりではないという声があることは承知している。声というメディアを通じて自分らしさを追求したい多くの人へ、今後も継続してこのプログラムを提供したい。

 Sound Upはバーチャルトレーニングなので居住地に関わらず受講することができる。今回は7月25日までの募集期間を経て10人のクリエイターに参加してもらう。番組のアイデアは社会問題には限定しない。ソーシャルメディアや動画メディアが台頭し始めたころ、現在のようなバラエティに富んだ活用方法が生まれるとは誰も予想していなかった。発信したい内容が何であれ、素晴らしいアイデアを持つ女性がコミュニケーションの手法として音声を選ぶのであれば、ぜひ参加してほしいと考えている。音声クリエイターという職業への参入障壁は今は低いので、これから真剣に音声という領域をキャリアパスとして考えたいという人にも参加してほしい。

9月スタート、オリジナル番組制作に挑戦

 プログラムは前後期の2期制。前期課程は9月27日から4週間、全8回行われる。ポッドキャスト番組の企画や構成、音声の特性を生かす手法などを学び、自身が考えた番組の企画提案書とトレーラー(サンプル音源)を制作する。すべてのプログラムはリモートで実施され、受講に必要なレコーダーやPCなどの機材はすべて提供される。

 2022年に開講予定の後期課程には前期の受講者が全員参加し、実際に番組のパイロット版を制作する。特に優れた作品はSpotifyオリジナルまたは独占配信番組として世界中のリスナーに向け配信が検討される。

 会見の終盤、プログラムにファシリテーターとして参加する平野紗季子氏と樋口聖典氏が動画でコメントを寄せた。ポッドキャスト番組「味な副音声」が 今年3月のジャパンポッドキャストアワード2020の大賞に輝いたフード・エッセイストの平野は「自分自身の考えやストーリーを音声で発信する女性クリエイターが広がり、それによってリスナーが新しい視点や生きるヒントを得られるようになると嬉しいです。とてもワクワクしています」と期待感を表明。「歴史を面白く学ぶコテンラジオ」で同アワード2019グランプリを獲得した株式会社BOOK代表取締役の樋口は「Sound Upを通じて日本の女性がより輝けるようになり、日本の音声シーンがもっと盛り上がっていけば嬉しいです」と話した。

 Sound Upへの応募条件は日本に住む20歳以上の女性(性自認が女性の方を含む)で、前後期すべてのプログラムに参加できるポッドキャスター志望者。ポッドキャストの制作経験は問わない。締め切りは7月25日午後11時59分。特設ページ(https://soundupjapan2021.splashthat.com/)から申し込める。

 2008年にスウェーデンでサービスを開始したSpotifyは、近年ポッドキャストの未来をつくることを中核戦略に据えている。現在提供しているポッドキャスト番組は260万番組を数えるという。



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