プラダともコラボした「フラワーボックス」誕生秘話 気鋭のフラワーアーティストが語る新しい“サプライズの形”

フラワーアーティスト、ニコライ・バーグマンインタビュー

 せわしく毎日を送っていると、ふと「安らぎ」や「癒し」を求めたくなるものだ。

 人それぞれ心と体をリラックスさせる手段は異なるが、暮らしの中に「花」を添えることも

 空間に彩りを与えるひとつの方法だろう。

 花のある暮らしを送る。人生に花を咲かせる……。

「花」を日常に添えることでライフスタイルを豊かにすることができる。

 アレンジメントフラワー、プリザーブドフラワー、ブーケなど花にまつわる商品は様々ある中、箱に美しい花々を敷き詰めた「フラワーボックス」は、フラワーギフトの定番として知られている。

 そんなフラワーボックスを考案したのが、デンマーク出身のフラワーアーティスト「ニコライ・バーグマン(以下ニコライ)」だ。

 今回はニコライ・バーグマン氏にフラワーボックスを生み出した背景や、気鋭のクリエイターとして活躍する上でのインスピレーションの源泉について話を聞いた。

“制約”から生まれた珠玉のフラワーボックス

 ニコライ・バーグマン氏は1996年に初来日以降、当初は埼玉県のフラワーショップで修業を積む。その後、南青山の骨董通り周辺に小さなフラワーショップを開店させた。

 街の一角にある小さな花屋から、多くの人々を魅了するフラワーボックスが誕生したのはどのようなきっかけがあったのだろうか。

 「フラワーボックスを作った最初のきっかけは、プレスイベントに来るゲストへ渡すフラワーギフトの問い合わせをもらったことでした。ただ、ギフトを保管するスペースがない条件だったため、『花を重ねて置けること』『生花で600個』がクライアントの要望でした。今までの経験からしても予算が合わず、普通に無茶振りです(笑)。ミニブーケなどを作ってみても全然しっくりこなかった。これはどうしたものかと、試行錯誤していくうちに『箱に直接花を入れる』というアイデアを思いついた。これで条件を全て満たすことができ、『ゲストにも生花のギフトを喜んで受け取ってもらえる』と考えました。結局、そのイベントのギフトには採用されなかったんですが……」

一過性のブームで終わらないよう、少しずつ裾野を広げた

 せっかく作ったフラワーボックスを、どうにかして広めたい。

 そんな想いを持ちながら自身のお店で飾っていると、次第に店前を行き交う人や花を買いに来る人の目に留まるようになったという。

 「フラワーボックスの評判は、お店を始めて以来のものでした。当時はもちろんSNSもないので、最初は口コミで徐々に知られるようになっていきました」

 そんな評判はメディアにも露出するようになり、雑誌やTVの取材も来るようになった。

 ひとつの転機とも呼べるのが、セレクトショップ「ESTNATION(エストネーション)」のバイヤーに声をかけられ、2001年に「ニコライ バーグマン フラワーズ & デザイン 有楽町」をオープンしたこと。

 以降も2003年の六本木ヒルズや2007年の東京ミッドタウンなど、当時話題沸騰となった大型商業施設への出店を皮切りにして、多くのメディアに取り上げられるようになったのだ。

 「意識していたのは少しずつ、ゆっくりとフラワーボックスを広めること。一気にブームが巻き起こって、あっという間に飽きられることもよくあります。そうならないため、着実に裾野を広げていこうという考えに立ってやってきたんです」

 そして2010年には南青山にフラッグシップストア(旗艦店)をオープン。

 当時としては異例の、フラワーショップにカフェを併設させたことで大きな反響を呼んだ。

 「150坪の店舗でお客様がちゃんと来てもらえるか不安だったので、カフェを出せばお店に入りやすいのではと考えたんです。まさか、ここまで話題になるとは予想もしていませんでした」

人を魅了する「自然美」や「造形美」からインスピレーションを得る

 ニコライ・バーグマン氏のフラワーショップは、現在までに国内外14店舗を構える規模へと成長。今では花屋としてのフラワービジネスのみならず、様々なブランドや企業とのコラボレーションを行う機会も増えている。

 まさに「フラワー × 〇〇」を体現し、独自のクリエイティブを世に発信してきたといえるだろう。

 ニコライ・バーグマン氏にとって、クライアントニーズをどのように汲み取り、空間演出や作品へと昇華させているのだろうか。

 「これまで本当に多くのブランドや企業に携わってきたわけですが、まず大事なのはクライアントの大まかな目標を決めることです。ブランドイメージや規模感、歴史などクライアントによって異なるので、最初はとにかくリサーチして、知るように心がけています。そして、クライアントが求めることをアイデアとして固めていき、ビジュアルとして表現していく。花は美しく綺麗であるがゆえ、ビジュアルには落としやすいんです。でもその反面、クライアントのニーズをいかに満たすかを考えると、色々なアイデアやクリエイティブを織り交ぜなくてはならない。そこは繊細に、丁寧に考えながら世界観を構築できるようにしています」

 ニコライ・バーグマン氏の斬新でクリエイティブな発想は、フラワーアレンジメントの枠を超え、アートやデザイン、ファッションといった様々な領域で、独自の世界観を貫いているのだ。

 こうしたものづくりに対するインスピレーションの源泉はどこからきているのだろうか。

 「自然からインスピレーションを受けることが多いですね。仕事柄、定期的に花市場へ朝早く通っていて、その日どんな花が入ったのか。今の旬な色や種類は何かなどを実際に見ています。また、インテリアデザインや建築も好きで、空間の雰囲気やインテリアのディテールなどから着想を得ることもあります。あとはデンマーク出身ということもあり、和と洋のコントラストが持つ独特の美しさもアイデアのヒントになる。ライフスタイルを送る中で色々と目にするわけですが、自然美や造形美などから人を魅了するクリエイティブやデザインが生まれると思います」

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