『ポケモンレジェンズ アルセウス』は“現実世界と仮想世界をつなぐ”試みとなるか シリーズの枠を超えた新体験へ

 2月27日、『ポケモン』の最新動向を伝える動画番組『Pokemon Presents 2021.2.27』内で、シリーズの新規スピンオフとなるタイトル『Pokémon LEGENDS アルセウス』が発表された。

 同タイトルはいったいどのような体験をファンに届けてくれるのだろうか。

オープンワールドを志向する、シリーズ初のアクションRPG

【公式】『Pokémon LEGENDS アルセウス』初公開映像

 『Pokémon LEGENDS アルセウス』(以下、ポケモンレジェンズ アルセウス)は、『ポケモン』シリーズ初のアクションRPGタイトルだ。舞台となるのは、まだ大自然の残る遥か昔のシンオウ地方。過酷な環境に多くの野生ポケモンが生息するこの地方で、プレイヤーはエリア初となるポケモン図鑑の完成を目指す。

 映像を観るかぎり、オープンワールドのフィールドと、シームレスなシーン移行、シンボルエンカウントを特徴としており、野生のポケモンと遭遇した場合には、従来の作品同様、モンスターボールを使用しての捕獲や、ポケモン同士でのバトルをおこなえるようだ。メーカー発表のリリースによると、「シリーズの枠を超えた新たな体験」と「『アクション』と『RPG』が融合した、かつてない表現」に挑戦したとのこと。対応ハードはNintendo Switchで、2022年初頭の発売を予定している。

 今回の配信では、『ポケモンレジェンズ アルセウス』のほか、『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』(以下、ダイヤモンド・パール)のリメイク『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』(2021年冬発売予定)のリリースも発表された。しかし、同タイトルについては、これまで多くのポケモン作品に携わってきたディベロッパーのゲームフリークではなく、ILCAが開発を担当する。その意味でゲームフリークがクレジットされている『ポケモンレジェンズ アルセウス』こそ、シリーズの文脈に近いタイトルであるとの見方があり、新規スピンオフながら話題を呼んでいる形だ。

 なお、同タイトルの舞台となるシンオウ地方は、『ダイヤモンド・パール』の舞台となった地方でもある。タイトル名に冠された『アルセウス』は、同地方に由来する伝説のポケモンで、『ダイヤモンド・パール』において初めてシリーズに登場した。

『ポケモン剣盾』に見た、オープンワールド化の片鱗

 『ポケモン』シリーズと言えば、2019年11月に発売された『ポケットモンスター ソード・シールド』(以下、ポケモン剣盾)の好評が記憶に新しい。前作『ポケットモンスター サン・ムーン』から3年ぶりのナンバリングである同タイトルは、これまでドット絵や2Dグラフィックの上に大半の歴史が紡がれてきたシリーズの、さらなる発展を感じさせる作品となっていた。ゲーム中に登場する「ワイルドエリア」と呼ばれる地域では、天候によってさまざまな野生ポケモンが出現。同エリアの遊び心にコレクター精神をくすぐられたプレイヤーは多くいたはずだ。

 『ポケモンレジェンズ アルセウス』は、『ポケモン剣盾』ワイルドエリアの延長上にあるタイトルと言える。前項で紹介した特徴はすべて、「RPG」というカテゴライズのなかで同エリアが放っていた遊び心と完全に一致するものだ。元来、スカウティングにも似た作品的背景を持つ『ポケモン』シリーズにとって、『ポケモンレジェンズ アルセウス』が内包するゲーム性は、一部のファンがずっと同シリーズに夢見てきたものなのではないだろうか。

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