『ポケモン ルビー・サファイア』はなぜ名作なのか 現在まで続くシリーズの基礎に迫る

 『ポケットモンスター』シリーズは、2021年2月27日の「Pokémon Day」で25周年を迎えた。本シリーズは一作目となる『赤・緑』発売以降、携帯型ゲーム機の進化とともにさまざまな変化を遂げてきた。今回は、そんなシリーズの中でも筆者が特に思い入れが深い『ポケットモンスター ルビー・サファイア』について紹介する。多少のネタバレを含むため、未プレイの方は注意してご覧いただきたい。

それまでのシリーズから一新されたポケモンたち

 『ポケットモンスター ルビー』と『ポケットモンスター サファイア』は、2002年11月21日に発売されたゲームボーイアドバンス(GBA)向けのRPGだ。GBAはゲームボーイカラーの後継機として発売された携帯型ゲーム機で、グラフィックやサウンドなどの性能が向上しており、『ルビー・サファイア』でも美しいドット絵による表現を味わうことができる。

 ストーリーは、主人公が冒険の舞台となる「ホウエン地方」に引っ越してきたところから始まる。主人公はひょんなことから「オダマキ博士」を助け、そのお礼としてポケモンとポケモン図鑑をもらって冒険へと旅立つことになるのだ。その冒険の過程でポケモンを仲間にして育成し、各地のポケモントレーナーやジムリーダーと戦うことになるが、これはどのポケモンシリーズでもお馴染みの流れだろう。

 しかし、本作では以前のシリーズで登場した「カントー地方」や「ジョウト地方」から離れた地域を舞台にしているため、登場するポケモンのほとんどが一新されている。「レックウザ」や「サーナイト」「ミロカロス」といった今でも人気が高いポケモンを数多く輩出したのも本作だ。

 また、それまでのシリーズでは敵対組織として「ロケット団」が登場していたが、本作では「マグマ団」と「アクア団」という二つの組織が登場する。『ルビー』ではマグマ団が敵対組織となりアクア団と協力することになる一方、『サファイア』ではアクア団が敵対組織として登場し、マグマ団と協力する。『ルビー』と『サファイア』では同じ場面であっても鏡に映したようにマグマ団・アクア団が入れ替わるため、どちらをプレイしたかによってキャラクターに対する印象が大きく異なる。

「とくせい」や「ダブルバトル」の導入でバトルの戦略が広がった

 本作では、新たに「とくせい」というポケモンのステータスが導入された。これはポケモンが持つ特殊能力を表したもので、バトルにさまざまな影響を与える。たとえば、最初のポケモンとして選択できる「ミズゴロウ」には、ピンチ時にみずタイプの威力が上がる「げきりゅう」という特性が備わっている。また、「サメハダー」が持つとくせいの「さめはだ」は、直截攻撃を受けた際に相手のHPを少し減らす。とくせいの導入は、それまで単純な能力値の高さや技・タイプの種類だけで決まっていたポケモンバトルに多様性をもたらした。

 また、「ダブルバトル」も『ルビー・サファイア』から始まったルールだ。ダブルバトルはそれまでのポケモンを1体ずつ戦わせていた方式とは異なり、互いが2体ずつのポケモンを使用して戦うことになる。このルールの導入により、それまでは不可能だったさまざまな技やとくせいの組み合わせができるようになり、バトルの戦略が広がった。とくせいとダブルバトルは後のシリーズでも定番化しており、『ルビー・サファイア』のシステムは現行版ポケモンの基礎になったといえるだろう。

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