歌広場淳が語る“格闘ゲームと卒業” 「力のあるゲームは決して卒業を許さない」

歌広場淳が語る“格闘ゲームと卒業” 「力のあるゲームは決して卒業を許さない」

 大のゲームフリークとして知られ、ゲーマーからの信頼も厚いゴールデンボンバー・歌広場淳による連載「続・格ゲーマーは死ななきゃ安い」。今回は卒業シーズンに合わせて、「格闘ゲームと卒業」というテーマで語ってもらった。そもそもゲームに卒業はあるのか、という根本的なところから、現実に学校の卒業を控えている人々へのメッセージまで。「僕は死ぬまで格ゲーマー」と語る歌広場淳が、その意味を明かす。(編集部)

格闘ゲームに卒業はない

 今回は3月の卒業シーズンに向けて、「格闘ゲームと卒業」というテーマでお話ししたいと思います。と言っても、熱心な格闘ゲーマーにおいては、やり込んだタイトルから望んで離れる人はほとんどいません。格ゲーはやればやるだけ新しい発見があり、基本的に「卒業はない」と考えています。

 例えば、僕が好きな『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』というゲームは、1999年に出たタイトルで、シリーズの続編も最新の『V』まで出ていますが、稼動から10年以上経ってからギルというボスキャラクターのステージの背景に「ドラえもん」が隠れていることが話題になったり、今でも大会が盛り上がったりしています。

 格闘ゲームはゲームセンターから筐体がなくなっても、オンラインで対戦する人がいなくなっても、1人でやり込み続ける人がいます。メーカーとしては新作をプレイしてほしいところだと思いますが、ゲームはあくまでプレイヤーのためのものであり、遊び方は自由。『スーパーストリートファイターII X』(1994年)のような伝説的なタイトルを”伝統芸能”として守るようにプレイし続けている人たちも少なからずいて、「卒業式」のようなタイミングはないんです。

 もちろん、シリーズの新作が出ればそちらをメインでプレイすることが多くなりますが、それが旧作からの卒業かといえば、そういう感覚はない。大好きだった作品は機会があればいまでもプレイしたいですし、「『3rd』から卒業したつもりはない!」と思ってしまいます。

 『ストリートファイター』シリーズの象徴的なキャラクターであるリュウが戦いに際して放つ名言として、「この道を進むのみ!」という言葉があります。カプコンさんはさすがだな、と思うのですが、格ゲーはまさに、書道や華道、剣道や柔道などと同じように、自分自身の深い精神性と結びつく、終わりのない「道」なのだと思うんです。僕は好きなものがたくさんあり、「推し」がたくさんいますが、それが与えてくれる豊かな経験や学びを考えると、そのすべてに「○○道」と名付けたくなります。特に「格ゲー道」は、卒業を迎える気配すらありません。

格ゲーマーたちの「思い出10先」

 ただ、そんな格闘ゲームにも「強制的な卒業」というものが存在します。スマホゲーム/アプリゲームなら「サービス終了」がそれに当たりますが、2月22日、『ストリートファイターV』に大型アップデートがあり、シーズン5に突入。新キャラクターが登場し、既存のキャラクターにも大きく調整が入り、システムにも大きな変更があって、「シーズン4」は否応なくプレイできなくなりました。これはプレイヤーたちが卒業式を迎え、その多くが「シーズン5」に進学した、という風に例えられると思います。

 そのなかで興味深かったのが、アップデートの日が近づくなかで、プレイヤーたちの間で「思い出10先」(※10試合先勝で争う格付けマッチ)が大流行したことです。つまり、「シーズン4」がなくなってしまう前に、最後に白黒つけたい相手とガチで戦っておきたい、というプレイヤーが多く、毎晩のように白熱した戦いを繰り広げた。

 これは、「卒業の前に、みんなで思い出のアルバムを作ろう」という気持ちに似ていると思います。格闘ゲーマーは勝った負けたの試合を延々と繰り返しており、「勝つこと」は当然、非常に重要なのですが、同時に「負けたら意味がない」と思っている人はいない。勝とうが負けようが、戦うこと自体に価値がある、ということをきちんとわかっているんです。学校の卒業を控えている皆さんも、残りの日々を漠然と過ごすより、それぞれに“今しかできない戦い(=仲間とのコミュニケーションやイベント)”を考えて、心に刻み込まれる思い出を作っていただきたい。

ゲームは卒業「する」ものではなく「させられる」もの

 さて、結論として、格闘ゲームに限定せず、広く「ゲーム」と捉えたときに、「卒業」とはどういうものなのか。それは、プレイヤーが「するもの」ではなく、ゲームに「させられるもの」ではないでしょうか。言い換えれば、本当に力のあるゲームは、プレイヤーに卒業を許さないということです。

 例えば、明確に「クリア」があるRPGであっても、RTA(※リアルタイムアタック。クリアまでのタイムを競う遊び)のような形で旧作を遊び続ける人はいますし、プレイヤー自身が何らかの制限をつけた“縛りプレイ”なども含めて、制作者・プレイヤーが考え得るすべての要素を遊び尽くした、と言えるタイトルはない気がするんです。

 名作は繰り返しプレイされるし、逆に力のないゲームは、プレイヤーの「遊び尽くそう」という思いを喚起できず、卒業させてしまう。もし万が一、そんな作品ばかりになってしまったら、僕もゲームから卒業するでしょう。だからこそ、ゲームメーカー/クリエイターへのリスペクトを込めて、面白いゲームは面白い、つまらないゲームはつまらないと、しっかり主張していかなければと思うんです。

 ゲームにはゲームでしか味わえない感動があり、それがなくならない限り、僕がゲームを卒業することはありません。一時的にプレイしない期間があったとしても、僕は死ぬまで格ゲーマーなんだと思います。

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