12時間におよぶ就活大型特番はなぜ生まれた? ABEMA&ワンキャリアの若手社員が語る“企業と就活生の課題”

12時間におよぶ就活大型特番はなぜ生まれた? ABEMA&ワンキャリアの若手社員が語る“企業と就活生の課題”

 企業が新卒採用の広報をスタートするなど、就活が本格化するいわゆる「就活解禁日」。そんな3月1日に、テレビ&ビデオエンターテインメント「ABEMA」で24時間365日ニュースを専門に放送する「ABEMA NEWSチャンネル」にて、『どうする?with コロナの就活&働き方【12時間特番】』が配信される。

 この型破りな大型番組を企画したのが、「ABEMA」で番組制作を担当する杉田哲也と、就職活動サイトを運営するワンキャリアに1人目の新卒として入社した多田薫平だ。コロナ禍によってより複雑化、多様化した就活や働き方について不安を抱える就活生は多い。そんな就活生と近い年齢で就職活動の記憶も新しく、これから会社を引っ張っていく世代として活躍している二人に、今回の就活特番ができた経緯や思いを聞いた。(編集部)

杉田哲也(すぎた てつや)

1993年生まれ。17年にサイバーエージェント新卒入社。入社後1カ月の研修を経てテレビ朝日に出向し、テレビ&ビデオエンターテインメント「ABEMA(アベマ)」(旧:AbemaTV)内のニュース専門チャンネル「ABEMA NEWSチャンネル」で制作職に着任。現在は報道リアリティーショー「ABEMA Prime」のディレクター職とソーシャルアカウント担当を兼務。

多田薫平(ただ くんぺい)

1994年生まれ。新卒1人目でワンキャリアに入社。マーケティング事業部でリアルマーケティングを担当後、コンサルティングセールス事業部にて、ToB営業とToCサービスチームの両面を兼務。その後、Career Adviser/Event Producerチームの責任者を経験。ONE CAREER SUPER LIVE/1社独占LIVEなど動画事業の垂直立ち上げを行い、現在は経営企画部にて事業開発に従事。

“世の中を明るくするお祭りをやりたい”そんな思いが企画のはじまり

ーーまずは番組立ち上げの経緯を教えてください。そもそも「ABEMA」でなぜ今、就活番組なんでしょうか?

杉田哲也(以下、杉田):コロナ禍の就活というのが、社会にとっての大きな課題になってしまったなと思ったからです。学生たちの大事な一歩、ファーストキャリアを選択する時に、コロナ禍という状況において「情報格差」が非常に生まれているなと。特に地方学生に状況をヒアリングしたときに思ったのが、オンライン就活で距離における障壁がクリアになっているにも関わらず、それを全然生かせていないということ。

 そもそもコロナ禍とは関係なく、いまや就活は“ネットの時代”で、誰でも情報にアクセスできる状態です。でも、それって逆にいうと「リテラシーが高い人がいい情報を手に入れやすくなる」ということなんです。どこにどんな情報があるのかをすぐに理解できる人たちだけが有利に進んでいる。この格差の生まれやすい状況は、学生にとってだけではなく、社会にとっても課題だと感じています。

 メディアの役割として、公益性の高い情報を多くの人に届けて格差のない社会を目指すというのが一義的にありますし、コロナ禍で困難を強いられている就活生のみなさんの為に「ABEMA」ができることはないかと考えたときに、就活番組の企画が立ち上がりました。

 あとは、これから社会人となる学生さんたちって、いきなりバトルフィールドに出るわけじゃないですか。そこに備えて、ニュースの有用性を知ってほしいなという思いもあります。経済ってお金にも紐づくところなので、ニュースを知っておくと社会に出た時に得である、ということを「ABEMA NEWSチャンネル」で配信するこの特番を通じて知ってもらう狙いもあります。

ーー多田さんはワンキャリア初の新卒社員、杉田さんは2017年入社でもうすぐ5年目ということで、2010年代後半からの就活の状況を身をもって体感している人たちである、というところが企画に至る前段としてあるんでしょうか。

多田董平(以下、多田):間違いないですね。私はワンキャリアで、長期インターンを含めると5年くらい学生さんを見ていて、コロナって本当に就活へのインパクトが大きかったなと感じています。ワンキャリアが「ONE CAREER SUPER LIVE / 1社独占LIVE」などの動画事業を始めたのも2020年3月1日からなんです。おそらくマーケット最速ではないかと思うのですが、学生が困っているし、企業もどうやって学生に会えばいいか分からないし……という状況を吹き飛ばすために、昨年の3月のYouTubeライブは利益無視で立ち上げたんです。そうして、コロナの状況が学生と企業両方にとって本当に負になっていることを身をもって体感したのが、この「ABEMA」での就活特番に繋がっていると思います。

ーーなぜ「ABEMA」とワンキャリアがタッグを組んで番組を作ることになったんですか?

杉田:お声がけした時にお互い一致していたのは「就活解禁日をお祭りにしたい」ということでした。前提として“就活のイベント”は、すごく真面目でお堅いじゃないですか。周りに流されるままに3月1日に合同説明会に行って、一方的に人事の話を聞いて、とりあえず就活のロードマップの始まりとしての1日を終えた、といった行事ごとのように思った人も多いはずです。ただ、それは学生・企業、どちらのためにもなっていないなと。学生側にも本質が伝わっていないし、企業としても「これって本当にブランディングになっているのか?」という疑問がある。お互いに「企業と学生がもっと近づけるコミュニケーションがあるのではないか?」という疑問があったのも大きいです。

多田:本当にそうですね。「暗いものを明るく吹っ飛ばそうよ」という思いが一致したから始めたという動機が強いです。今の就活を良いものにしたい熱意と、企画を進めていくうえでの相性が合致していたからこそだと思います。

コロナで不安が加速。オンラインが主流になり「就活生が抱える課題」が変化した

ーー杉田さんは、ニュース番組「ABEMA Prime」の制作を担当されていますよね。「ABEMA Prime」は若年層やニュース番組を積極的に見ない人たちに向けてどう届けるか、を意識して設計されているような気がしています。その思想や切り口が今回もベースにあるんですか?


杉田:はい。基本的に、起きたことを伝えるのはマスメディアの役目だと思っていて、「ABEMA Prime」ではニュースを報じるうえで課題設定を非常に意識しています。例えば、「こういう認知・文化・問題を抱えてる人はこの事実を知った方がいいよね」とか「結論として、課題解決のためにはこれをやればいいよね」といった議論をするようにしています。今回就活の番組を始める際も「それは社会にとってどういう課題か」「今回のターゲットとなる視聴者はどれくらいのボリュームがあって、どのような人がどう困っているのか」を知るところからスタートしました。

ーー番組は12時間尺の超大型番組ですが、この枠の使い方に込めた意味はありますか。

多田:12時間という数字自体に意味はないと考えているのですが、コロナの影響で困ってる方が多いなか、コロナ禍の就活はどうなのか、働き方はどうなのかという大きなテーマを伝えるために、1時間とか2時間では足りないんです。伝えなければいけない色んなことをギュッと詰めた結果、12時間になったという認識なんです。学生にとって今は特殊な時期で、経団連の就活の解禁がなくなったことで、どのタイミングで就活をスタートさせるのかという区切りがつかない状態なんですが、この番組を契機に就活のスタートを楽しくできたらいいなと思っていて。そういった意味でも、個人的には12時間の長尺がいいなと感じました。

ーー例年だったら就活がスタートしている3月1日に、この番組を「スタート」として世間に問いかけると。

多田:そうですね。就活は画一的だという意見もあるんですけど背中を押してもらわないと始められない人もいるなかで「きっかけ」をつくる大切さもあります。しかも、コロナの影響で就活生同士が会えていないことで、周りの状況もわからないし、誰が内定もらったかも分からず「自分はどのくらいの進捗なんだ」と見失ってしまいそうになったり、例年よりもしんどい思いをしていると感じています。

ーーほかに、コロナ禍の就活で変わったことってありますか?

多田:そうですね。メリットから話すと、地方就活生には一部有利に働いていると思いますし、実際にその声は学生さんからもたくさん上がってきています。オンラインが増えて地方でも交通費が抑えられる。すごく楽になったという声もありつつ、一方でバイトができなくなって就活にお金をかけられなくなったという声もあります。

 デメリットは、学生側からすると、企業側の採用状況が見えにくくなったことですね。何人採用するのかが分からなかったり、突然の募集打ち切りがあるのではないか、内定辞退をさせられるのではないかとか、そういった不安がつきまとう点です。

 そして、企業側にもリスクがあります。弊社のデータで見ると、エントリー数が劇的に上がっているんですよ。一見良さそうなのですが、ここには「オンラインだからどんどんエントリーして、そのあと取捨選択すればいいや」という学生の思考が現れていると思っていて。エントリーが集まって安心している企業が、最終的に内定辞退者を多く出してしまうというリスクはあると思います。これもコロナの影響ならではですね。

 そのため、今回の番組では、企業の魅力を別角度から伝えましょうというコンセプトが根底にあります。杉田さんが話していたような堅い企業説明会ではなくて、しっかり第三者から企業の魅力が語られたり、異業種でクロストークしたり、ゲストと話すことによって魅力が深まったり。違う角度から学生に魅力を伝えて“志望度を上げる”必要があるという危機感からもこのイベントをやりたいと思いました。

ーー企業と学生の間で一番ズレているポイントってどこだと思いますか?多田:たとえば、学生さんは対面を希望しているのに、ずっとオンラインで採用が進んでいくところは挙げられますね。今までの就活と全然違うのが、ずっとオンライン面接でオフィスに行けないまま内定をもらうこと。就活生が内定をもらった企業の人に会いたいって思うのは当然じゃないですか。でも企業としては「コロナの状況で会えない」とせざるを得ない。企業の気遣いと就活生の思いがジレンマを起こしてしまっている。

 学生さんの中にも色々な意見があって、企業側はそれを収集できていないんだろうなと。コロナ対策をしっかりして少人数で開催すれば、オフラインでもできることはあると思うんですけど、学生さんの中にもオンラインでいいという方と、対面がいいと言ってる方がいるんです。企業側はそれぞれに合わせてコミュニケーションをするべきなのですが、なかなかそれができずに一律な対応になってしまうというのはズレを感じますね。

ーー企業側も対策はある程度一律化しておきたいということですね。

多田:そうです。そこは難しいところですけどね。

杉田:いまは転職前提の就職をする就活生も増えているかと思います。それに対して企業側の用意しているシステムとの不一致が起き始めてるのかなと感じていて。まだ終身雇用のなごりが根付いた企業からすると、転職前提の新卒の採用はコストに見合わないので、その折衷点みたいなのがちょうどない時代だと思うんですよ。そこはエアポケットになっているんじゃないかなと思います。時代と社会が合ってないなと感じます。

ーー企業と学生のズレはどう解消していけばいいのでしょうか?

多田:互いに本音を語らないのはデメリットでしかないのに、なぜかこの状況になってしまっているんです。企業側にとってはその企業に合わない人を採用してしまう可能性がありますし、学生は自分に合う企業かどうかわからないまま採用が進んでいく。だから我々は学生の本音を先に公開して、企業も本音で話したくなる状況をつくりたいと思っています。

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